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胸を撫でおろし、腕を振りおろす。

保育園から至急のお迎え要請。
五歳息子が七度六分の発熱をしたという。
妻が職場を早退し向かう。私は「別居」に供えて買い出しへ。
(※基礎疾患のある私が自室に隔離される)

ついに来たか……
運動会まで十日だと言うのにかわいそう。
今朝は冷えた。せめて普通の風邪でと願う。

帰宅すると元気溌剌がいた。え?
「大丈夫そう。七度まで下がってる」と妻。
小さく肩すかし。大きく安堵。
「保健の先生も、疲れが出ただけかもって」

息子に元気度を問うと「68」と答えた。
良くなって、と買ってきたみかんを渡す。
すぐに剥いて食べ始め、二個、三個……

三十分後。
「パパ、野球やろう~」
まさかの大復活。――元気度は?
息子はばつが悪いような顔でぼそり。
「100……なんかパパの顔見たら元気になったんだ」

キュン死する私。
誰かから直接そんな言われよう、人生であったろうか。
――ゆ、ゆっくりしなきゃ駄目なんだぞ。
畳の部屋に行き、率先してキャッチボールを始めた。


顔見たら元気になつた青蜜柑

(かおみたらげんきになったあおみかん)

季語(三秋): 青蜜柑


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