痔の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。
痔とは?
痔核は「いぼ痔」とも呼ばれ、痔瘻(じろう=あな痔)、裂肛(れっこう=切れ痔)とともに肛門の3大疾患として、最も多くみられる肛門の病気です。痔は主に内痔核(直腸内に存在する痔)と外痔核(直腸外に存在する痔)の2つのタイプに分かれます。
痔が起こる原因は?
痔が起こる原因として、お尻周りの血行不良(うっ血)が原因とされていることが多いです。なので冬のように寒い時期や椅子に座りっぱなしになるとお尻まわりの血管が収縮したり、圧迫されたりすることで血行不良を起こします。それが痔の原因なります。その他には下記のようなことも考えられます。
便秘または下痢: 長期間の便秘や下痢は、直腸周辺の血流や圧力に影響を与え、痔の発生を促進することがあります。
遺伝的要因: 一部の人は遺伝的に痔になりやすい可能性があります。家族に痔の症状がある場合、遺伝的な要因が関与している可能性があります。
妊娠: 妊娠中には、子宮が拡大することで直腸周辺に圧力がかかり、痔の発生が増加することがあります。
重い物の持ち上げ: 長時間にわたり重い物を持ち上げることは、腹圧が上がりやすくなり、これが痔を引き起こす可能性があります。
座位や立位の維持: 長時間座ったままいるか、長時間立ちっぱなしでいることが、直腸周辺の血流に悪影響を与え、痔の発生を促進することがあります。
肥満: 過体重や肥満は、体重による追加の圧力が直腸周辺にかかることで、痔のリスクを増加させる可能性があります。
食生活の問題: 食物繊維が不足する食事や、過度な香辛料やアルコールの摂取も、便秘や下痢を引き起こしやすく、それが痔の原因となることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、痔が発生する可能性が高まります。生活習慣の改善、バランスの取れた食事、十分な水分摂取、定期的な運動などは、痔の予防や症状の軽減に役立つことがあります。
痔の所見、症状は?
痔の症状は、痔の種類や進行具合によって違いますが、一般的な症状には次のものがあります。
肛門周辺の痛みや不快感: 痔が腫れたり炎症を起こしたりすると、肛門周辺に痛みや不快感が生じることがあります。特に排便時に痛みが強く感じられることがあります。
出血: 痔が出血することがあり、トイレで血便が見られることがあります。通常、明るい赤色の血で、便器やトイレットペーパーに見られることがあります。
腫れや膨らみ: 外部痔核が発生すると、肛門周辺に腫れや膨らみが生じることがあります。これがしばしば触れることで痛みを引き起こします。
かゆみや灼熱感: 痔が炎症を起こすと、かゆみや灼熱感が生じることがあります。これは通常、便秘や下痢によって引き起こされた炎症によるものです。
便秘または下痢: 痔が原因で便秘や下痢が悪化することがあります。逆に、便秘や下痢が痔を引き起こす要因となることもあります。
排便時の苦痛: 痔の存在により、排便時に痛みや不快感を感じることがあります。便が硬い場合、特にそのような症状が強く現れることがあります。
これらの症状が現れた場合、医師に相談することが重要です。医師は適切な検査や診断を行い、適切な治療法や対処法を提案することがあります。
痔の診断方法は?
痔の診断には以下のような診断方法があります。
問診と症状の評価: 医師はまず、患者の症状や健康状態について詳しく尋ねます。排便時の痛みや不快感、出血の有無、便秘や下痢の頻度などについて情報を得ることがあります。
身体検査: 医師は肛門周辺を検査し、痔の腫れ、膨らみ、出血などの異常があるかどうかを確認します。この際、直腸検査や肛門診察が行われることがあります。
内視鏡検査: 痔の状態や程度をより詳しく確認するために、内視鏡検査が行われることがあります。これには、肛門鏡検査や大腸内視鏡検査が含まれます。
痔の一般的な治療法は?
痔(ぢ)は、肛門周囲の静脈が腫れて炎症を起こす病状です。痔の治療にはいくつかの方法がありますが、具体的な治療法は症状や病状の進行によって異なります。以下は、一般的な痔の治療法ですが、医師の指示に従うことが大切です。
食事療法では、野菜や果物、全粒穀物などを多く摂取し食物繊維を補給することが重要です。また、薬物療法では、抗炎症薬や痛み止め、漢方薬などを使用することがあります。さらに、血流改善のために薬物が処方されることもあります。
また、処置療法では、注射による硬化剤の使用やレーザーや凍結療法を行うことがあります。進行が著しい場合や他の治療法が効果的でない場合には、外科手術が必要となることもあります。しかし、痔の管理には早期の診察と適切な治療が重要です。
自己判断や自己治療は避け、医師と相談しながら治療を進めましょう。
痔の予後は?
一般的な切れ痔の場合は円座や座薬を使うと1週間程度で治る場合がありますが、生活スタイルを整えることを怠ると、再発もあります。また重症の場合は手術が必要な場合があるので、そのような意味では予後不良の場合もあります。痔瘻には特に注意が必要です。
痔の東洋医学的な考えは?
東洋医学では、痔の症状や原因を西洋医学とは異なる視点で捉えています。痔に対する考え方として、気や血の流れが調和していることが健康の要であり、その不均衡が病気の原因とされるとされています。痔もこの気や血の不調和が関与していると考えられています。
痔の東洋医学におけるアプローチは、西洋医学のアプローチと異なりますが、一部の患者にとっては補完的な治療法として利用されることがあります。東洋医学は、体のエネルギーの流れやバランスを調整し、体の自然な治癒力を活性化することに焦点を当てています。
東洋医学を取り入れるメリットは?
痔の治療には、東洋医学のアプローチがメリットを持っていますが、これらのアプローチは補完的なものであり、医師の指導のもとに利用するべきです。東洋医学を取り入れる際のメリットの一例は以下の通りです。
気や血のバランスの調和: 東洋医学では、健康の要とされる「気」と「血」の流れが調和していることが重要です。痔も気や血の不調和が関与していると考えられています。
脾と胃の機能の重要性: 東洋医学では、脾と胃の働きが便通や消化に大きな役割を果たしているとされています。脾胃の弱さが便秘や下痢などの問題を引き起こし、これが痔の原因とされることがありますので、脾胃をバランスを整えます。
湿熱の影響: 東洋医学では、体内に湿熱が滞留することがあります。この湿熱が腸内で滞ると、血液や気の流れを妨げ、痔の原因となる可能性がありますので湿熱を取り除きます。
経絡のバランスの調和: 東洋医学では、体内を巡るエネルギーの流れである「経絡」が重要視されています。経絡の滞りが病気の原因となることがありますが、特に肝経や脾経などが痔に関連していると考えられていますのバランスを整えます。
重要なのは、西洋医学と東洋医学を組み合わせてホリスティックなアプローチを構築することです。痔の治療においては、医師の診断と治療を基本にしつつ、体質や症状に合わせて東洋医学のアプローチを取り入れることが有益である可能性があります。
以上のような様々な視点から治療が出来ることから東洋医学を取りれるメリットがあります。
東洋医学で考える痔にアプローチできるポイント
痔に対する東洋医学のアプローチ方法は、患者の症状や体質に合わせて個別に調整されることが一般的です。以下は、一般的な東洋医学のアプローチポイントになります。
体質診断: 東洋医学では、体質が個人の健康に大きな影響を与えると考えられています。まず、東洋医学の専門家は患者の体質を評価し、病状を理解するために個別の診断を行います。これは脈診、舌診、症状の詳細な質問などを含むことがあります。
食事療法: 患者に対する食事療法は、個別の体質と症状に合わせてカスタマイズされます。特定の食材や調理法、漢方などが推奨され、栄養摂取とエネルギーのバランスを最適化するために使用されることがあります。
ストレス管理と精神的なサポート: 東洋医学は、精神的な健康を重視し、ストレス管理技術、瞑想、呼吸法、および運動などの方法を提供することがあります。これにより、患者の心身のバランスをサポートし、治療へのモチベーションのアップや忍耐力を高めます。
予防と健康の維持: 東洋医学は健康の維持と疾患の予防に焦点を当てます。患者には健康な生活習慣の促進、バランスのとれた食事、適切な運動、ストレス管理などがアドバイスされることがあります。
その他の痔の治療法
鍼灸療法
主に鍼や灸を使い、以下のように整えます。
診断: 鍼灸師はまず、患者の病歴や痔の症状を詳しく聞き取り、舌や脈診などの診断法を用いて体の状態を把握します。これによって、体内のエネルギーの不調和やバランスの乱れを見極めます。
ツボの選定: 鍼灸師は痔の症状に対処するため、特定の経絡やツボに鍼を刺したり、灸を使ったりします。一般的には、肛門周囲のツボや腸経などが選ばれることがあります。
鍼の刺激: 鍼は特定の深さに刺さり、体内のエネルギーの流れを促進します。これにより、血行が改善し、痔の原因となる気や血の不調和を改善することが期待されます。
灸の施術: 灸は特定のツボや部位に温熱を加えることで、体のエネルギーを調整します。これにより、湿熱の排泄や体内の冷えの改善などが期待されます。
漢方
湿熱解消:湿熱が体内に滞留すると、それが痔の原因となることが知られています。湿熱解消のためには、薬湯や丸剤といった形で湿熱を排除する漢方薬が使われます。
血行改善:血行不良は痔を引き起こす原因の一つであり、この漢方薬は血行を改善し、瘀血を解消するために用いられることがあります。
脾胃調整:脾胃の弱さが便秘や下痢を引き起こし、それが痔の原因となることがあります。この漢方薬は、脾胃の機能を整え、便通を調整する効果が期待されます。
便通調整:便秘が痔の症状を悪化させる可能性があるため、通便剤として使われる。便通を促進し、痔の症状を緩和する効果が期待されます。
漢方治療は患者それぞれの状態に合わせて処方されますので、自己診断や自己処方は避け、漢方医や中医学の専門家と相談することが重要です。症状や体質に合った適切な治療法を受けることで、効果的な漢方治療が期待できます。
飲む痔の漢方市販薬もある。
効能効果
脱肛(で痔)、裂肛痔(きれ痔)、外痔核(いぼ痔)、内痔核(はしり痔)
「もへじ」は、どんな薬?
ホノミもへじは、いぼ痔、切れ痔、脱肛といった痔疾患を改善するために考え出された生薬配合の内服の痔のお薬です。
東洋医学的に痔の治療を始める場合は?
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