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酒井順子連載「あっち、こっち、どっち?」

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築地本願寺新報に掲載中のエッセイストの酒井順子さんの連載です。気になるふたつの言葉を取り上げて、紹介していきます。
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#エッセイ

大人の嘘とは化粧のようなもの

 子どもの頃、誰しも大人から厳しく言われるのは、 「嘘をついてはいけません」  ということ…

「お母さん」、それとも「母」? フラット化する社会を考える

 様々なドラマを見せてくれた、パリオリンピック。スポーツの素晴らしさをたっぷり味わうこと…

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末端で先端だからこそ、残される宝物を探して。能登半島訪問で思ったこと

 今年の元日に発生した地震で、大きな被害を受けた能登半島。この地が好きでたまに足を運んで…

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「きっちり」な理系と「あいまい」な文系が混じりあうから、世界は豊かになっていく

  昭和時代に、女子校に通っていた私。時代のせいもあってか、今で言う〝リケジョ〟は、今以…

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お店に「さん」はつける? つけない? 関東と関西の文化の違いを考える

  大人になってから京都に行った時、京都の人がお店の名前に「さん」をつけて呼んでいるのを…

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「満」や「密」な状況がもたらす、濃厚な時間もある

 このゴールデンウィークに、浅草に行く機会がありました。久しぶりに行動制限の無い大型連休…

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「あげる」行為は楽しいが、時に暴力的でもある。

 近所のおばあさんの家に行くと、いつも必ず、持っていった物以上の何かを持たせてくれようとするのでした。「これをあげる」「あれも持ってく?」と、お菓子やら自分が作ったお惣菜やらを、絞り出すかのようにこちらに渡してくれるのです。    私はそれを有難くいただき、また「何かお返しを」ということになって……と贈&答の無限ループが続くのですが、まぁご近所づきあいというのは、そういうものなのでしょう。  物をいただくのは、嬉しいものです。センスの良い人からの、センスの良いプレゼント。地

年下と年上、どっちと話すのが好き?

  子どもの頃、私はいわゆる「おばあちゃんっ子」でした。父方の祖母と同居していたのですが…

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「自分は中身が薄い人間だ」と感じても、落ち込まなくていい

  かつて、会社員の友人と悩みを話し合ったことがあります。 「何だか自分が、ペラッペラな…

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年をとるのは悪いこと? 「年を重ねる」という言葉に抱く違和感

「年をとる」という言い方を、あまり耳にしなくなりました。今、「年をとる」の代わりに便利に…

能登半島地震で考える「孤立」の意味

 元日に石川県能登地方を震源とした、大きな地震が発生しました。能登半島好きの私は、珠洲に…

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世の中には「軽薄な人」がいてもいい

 若い頃の話。毎朝、彼に手作り弁当を届け、誕生日には手編みのセーターをプレゼントするよう…

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「太った?」 という発言が与える、強烈さ

   久しぶりに会った老紳士に、開口一番、 「おお、太ったね!」  と言われました。その瞬間…

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縦書き派、横書き派。あなたはどっち?

 この原稿を書いている時、パソコンのディスプレイ上に、文章は横書きで表示されています。これが紙に印刷される時は縦書きになっているわけで(編集部注:誌面掲載時は縦書き)、その文章を横書きで書いて気持ちが悪くないのか、という話もあろうかと思います。が、昔からこのスタイルなのでさほど気にはならず、「そういうもの」と思って書いているのでした。  パソコンもワープロも世に登場していなかった時代は、私も原稿用紙に縦書きで書いていました。今もし停電などになってパソコンが使えなくなっても、