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朝日カルチャーセンター横浜教室の新講座「文芸翻訳添削道場」について

 朝日カルチャーセンター各教室(新宿・横浜・中之島)の10月期文芸翻訳講座の受付がはじまりました。わたしが担当する全クラスの内容を下のページにまとめてあるので、ご覧ください。

 きょうはそのなかで、新設された「文芸翻訳添削道場」(横浜教室のみ、オンラインもあり)について、すこしくわしく書きます。

 朝日カルチャーの「英米小説の翻訳」クラスでも、オフィス翻訳百景の「オンライン文芸翻訳実践講座」(次期は9月1日受付開始)でも、わたしは原則として個別翻訳指導をおこないません。ひとつには単純に手間がかかって面倒だからというのもありますが、いちばん大きい理由は「先生に添削してもらうことをいつまでも期待している人が、翻訳のプロとしてまともな仕事をできるはずがない」と考えているからです。
 だから、ふだんのクラスでは、一部の受講生から提出された訳文に部分的に口頭でコメントするだけで、あとはわたし自身の訳例やほかの受講生の訳文をそれぞれが比較して個別に勉強してもらう形をとっています。わたしも含めた何人かの訳文を見ながら、自分で自分の訳文を添削するほうがはるかに力がつきます
 そうは言っても、初中級者の段階では、何をどういう基準で修正していくべきかで迷う人がいるのも事実です。短期間限定であれば、個別添削指導にも意味があるかもしれません。そのような考えから、今回、1期(3か月)限定、添削指導3回のクラスを開講することにしました。おもに文芸翻訳の初中級者が対象ですが、翻訳の課題英文自体はけっしてやさしいものではないので、上級者でも物足りないことはないと思います。

 講座の内容としては、まず必修課題書の『文芸翻訳教室』(研究社)を隅々まで予習してきてもらい、これについてのQ&Aをていねいにおこないます(30分程度)。『文芸翻訳教室』は3部構成の内容なので、毎回3分の1ずつ進みます。
 後半の60分では、毎回の課題英文の解説をおこないます。ほかのクラスとはちがって、見せるのは越前の訳例だけで、受講者の訳文は見せません(部分的に匿名で言及して、すぐれた訳文の例、あるいは改善すべき訳文の例として採りあげることはあります)。扱う英文は、1回目がノンフィクション、2回目がシリアスな小説、3回目がコミカルな小説です。どの回も、事前提出してもらった訳文を添削してお返しし、そのうえで講座をおこないます。
 個別添削の一例を下に示します(今回の課題英文とは無関係のものです)。

 時間が余ったときには、補助教材を少し使うことも考えています。

 この「文芸翻訳添削道場」は、2024年10月期、2025年4月期に開講し、以後は1期おきにおこなって、2年か2年半程度で終了する予定です。ほぼ同一の内容なので、受講できるのは1期だけです。

「文芸翻訳添削道場」のない時期(1月期、7月期)には、別の内容の単発講座を開講する予定で、これについては後日くわしくお知らせします。

 横浜教室では、同日の直後の時間帯(15時30分から17時)に「英米小説の翻訳」があるので、同時受講することもできます。あるいは、今期は「文芸翻訳添削道場」に専念し、つぎの期から「英米小説の翻訳」(新宿・横浜・中之島)の受講をはじめるという形でもかまいません。

 なお、これまでオフィス翻訳百景で不定期におこなってきた「オンラインン入門講座 文芸翻訳のツボ」は、この「文芸翻訳添削道場」との内容の重複はありません。そちらを以前受講した人も、よかったらお申しこみください。「文芸翻訳のツボ」は現在休止中ですが、折を見て再開講する可能性があります。

 



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