祈願上手|毎週ショートショートnote
「神様、あー神様、どうかお願いします……」
ブレザーを着た高校生らしき少年が眉間にしわを寄せて、一生懸命に手を合わせている。
――どうせ恋愛関係じゃろう。どいつもこいつも……。
少年の真正面に立ち、大あくびをした。どうせ少年にワシは見えない。
先週は中学生らしき少女が「サッカー部のキャプテンの町田君が彼女と別れますように」と手を合わせていた。
――まったく……。
自分の願い事ならともかく、他人の不幸を願うとは言語道断。いや、例えどんな願い事でも、ワシが手を貸すことはない。神様は人間に干渉してはいけないのだ。
「どうか、次の席替えでも佐々木美智子さんの後ろになりますように……」
――後ろ? 隣じゃなくて?
「席替えで○○さん、○○君の隣になりますように」という願い事は多い。しかし、「後ろ」というのは初めてだ。
少年は続ける。
「佐々木さんの……ブラウスから透けるブラ紐を見ていると、毎日生きてるって実感するんです」
ワシは少年の願い事を叶えることにした。
――青春じゃなぁ……。
(了)
たらはかにさんの企画「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週のお題は「祈願上手」でした。
ひっっっっさびさの毎ショです……。
仕事と寝る時間で1日が終わってしまい、noteに費やす気力がありませんでした…。
ぼちぼち復活したいと思います。
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