タンバリン湿原|毎週ショートショートnote
名前:番条真琴(ばんじょうまこと)
年齢:43歳
職業:漁師
発見場所:霧多布湿原(釧路総合振興局管内)
名前:角笛茂樹(つのぶえしげき)
年齢:21歳
職業:会社員(運送業)
発見場所:サロベツ湿原(宗谷総合振興局管内)
名前:丹波凛(たんばりん)
年齢:29歳
職業:フリーのイラストレーター
発見場所:パンケメクンナイ湿原(後志総合振興局管内)
「うーん……」
3人の写真とプロフィールを眺める。
8月28日、北海道内の3か所の湿原で、自殺と思われる遺体が発見された。事件や事故の線が疑われたが、一通り調べて、3人の接点はない。
「やっぱりただの自殺だそうです。事件性はなさそうですね」
新米刑事の倉本が死体検案書を差し出すが、それには目もくれずに「そうか……」とだけ答える。
「気になりますか?」
「気にならないわけないだろう?」
「まぁ、偶然にしては気味が悪いですよね。同じ日に、全然違う場所で3人もの遺体が発見されるなんて」
「いや、そこじゃない」
倉本が「は?」と間抜けな声を出す。
「3人全員、名前に楽器が入っている!」
(了)
たらはかにさんの企画「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週のお題は、表「モンブラン失言」、裏「タンバリン湿原」でした。
表お題の「モンブラン失言」で、ネタが他の人とほぼ丸被りしてしまったので、急きょ裏お題で書き直しました。
番条は「バンジョー」、角笛は「ホルン」、丹波凛は「タンバリン」ですね。
ちなみにギターのベースの和名は「四弦琴(しげんきん)」なので、「茂樹」はそこから取りました。
霧多布湿原もサロベツ湿原もパンケメクンナイ湿原も、全て実在します。(行ったこともあります)
ただ、それぞれ400~500キロも離れているので、とても気軽に行ける距離ではないですね。
うーん、さすが北海道。
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