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気がつけば霧島。

記憶は突然くねくねと山道をドライブしている場面へと跳ぶ。

前夜、宮崎駅に降り立った僕は、翌朝宿をたつと直ぐにまた車を借りた。えびのスカイラインを霧島連山にのぼる。

池が見える明媚な景色に出会って車をよせる。天気は良い。寒すぎもしない。外に出て、剥き出しの崖に続く階段を登る。硫黄のにおい。一面の砂利。岩。もくもくと噴煙が登る。荒涼とした風景。地獄谷とよく名前がつくような場所だと思った。箱根の大涌谷なら行ったことがある。しかし、ここは何もない。黒たまごもない。

画像がないのが本当に悔やまれる。硫黄山でカメラが壊れた。たしか2、300万画素のコンデジ。8Gを超えるメモリーカードを使うな、というメーカーの警告を無視して16だか32だかのカードを使ったのがいけなかった。

これは何か人生の教訓になるだろうか?
曰く「欲をかくな」
或いは「セコイことはするな」
より多くを得るどころか、全てを失う也。

いや、単純に、器械は使用説明書に従って使うべきである。そうしなかったせいで、せっかく撮り溜めたここまでの九州旅行の記録が完全に失われてしまった。

曰く「インチキはするな」

僕は、こういう荒れた火山性の大地が好きだ。裂け目から噴煙と温泉が湧き出す、なにかあると直ぐに立ち入り禁止になるような場所。生物は逃げ出すが、無生物がまるで生きているように躍動する土地。この国には沢山ある。自然。

湯釜を見られなくなって何年経ったろう?

次は、鹿児島。どこかでカメラを買おう。

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