「学習の原則」⑧ i+1(アイ・プラス・ワン)の原則
ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。
お一人ひとりが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。
「成長し続ける」=「学び続ける」 です。
「学習の原則」についてシリーズで考えることで「成長し続ける」ヒントを得ようと考えています。
学びに関心をよせる以下のような方にお役に立てるよう努めますのでよろしくお願いいたします。
自分自身の成長のために学び続けたいと願っている方
部下を育成する立場や人を教える立場で他者の学習を支援している方
人材育成コンサルタントや教務主任のように学習を促進する学習環境や学習システムを設計している方
(質問・疑問・要望・ご意見などコメント欄にお願いいたします。)
第8回は、「i+1の原則」です。
i+1(アイ・プラス・ワン)とは?
i+1(アイ・プラス・ワン)とは、米国の言語学者Steven Krashen(スティーブン・クラッシェン)教授が1970年代に提唱した「インプット仮説」のことです。
「インプット仮説」という名前は知らなくても、その内容を知っている人は少なくないでしょう。
「学習効果は、学習者の現段階からひとつ上の段階に直面した時に最も高まる」というものです。
クラッシェン教授は言語学者ですので、外国語を習得する際に既存の言語理解よりもひとつ上のレベルの言語理解が求められる時に、最も学習効果が高まると示したのです。
この理論は言語の習得についてだけではなく、様々な学習について同じことが言えるので、理論の名称や説明がなされていなくても利用されているのだと思います。
技能の習得と「i+1」
「言語を学ぶ」と言うときに、言語について学習する学びもあれば、ツールとして言語を用いる技能を習得する学びもあります。
英語の例で言えば、前者は英語という言語について文法や構造などを学ぶわけです。言語学における英語の研究です。後者は英会話のように英語を使ってコミュニケーションをとることを学ぶのです。英会話であり、英語の読み書きの習得です。
i+1の原則は、第二言語習得の観察から生み出された理論ですから、技能の習得において特に有効に働く原則です。
高度な技能は段階的に分解することができます。
基本的な技能を土台として、その上に様々な技能が組み合わされて行動な技能を発揮することができるようになります。
数学で考えてみましょう。
数える、長さや重さの単位、足し算、引き算、かけ算、わり算などの基礎的な概念の理解と技能が土台となっています。これは算数ですね。
算数という基礎的な計算方法を学んだ土台の上に、負の数(マイナス)や平方根(ルート)などの概念の理解と技能が組み合わされて数学になります。
段階的により複雑で難しい技能を習得するようになっています。
教科でなくてもスポーツや料理などの学びは、技能習得ですので段階的に習得します。ですから「i+1(アイ・プラス・ワン)」がよく機能します。
「i+1」を仕事や生活に用いる
「人の成長」についていつも考えていますが、人としての成長における「i+1(アイ・プラス・ワン)の原則」の汎用性は高いと感じています。
ある意味において、私たちの思考や行動は全て既存学習から生み出されていると言って良いでしょう。
つまり過去の成長によって現在があります。今の私は過去の学びの集大成とも言っても良いでしょう。
そして私は毎日の仕事や生活で、新しい場面に遭遇するのです。新しい場面は、心地よいものあれば、困難な状況もあります。肯定的なものも否定的に感じられるものもあります。
このような場面が、一段階上の場面に私を直面させるのです。
学習効果が最大化される機会なのです。
あたかも天が私たちが成長するようにと、人生の様々な状況や出会いをわざわざ与えているかのように思えるのです。
私たちは「人生の学校」の生徒なのだ、と研修で申し上げることがあります。今直面している絶好の学習機会を見逃さないようにしたいと願うからです。
「i+1(アイ・プラス・ワン)の原則」を用いて今日もご一緒に学んでまいりましょう。
最後までお付き合いくださりありがとうございます。
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