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「学習の原則」⑤ 即時性の原則
ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。
あなたが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。
「成長し続ける」ためには、「学習し続ける」必要があるのです。
そのようなことから、「学習の原則」についてシリーズで取り扱っています。
学びに関心をよせる以下のような方にお役に立てるよう努めてますのでよろしくお願いいたします。
自分自身の成長のために学び続けたいと願っている方
部下を育成する立場や人を教える立場他者の学習を支援している方
人材育成コンサルタントや教務主任のように学習を促進する学習環境や学習システムを設計している方
(質問・疑問・要望・ご意見などコメント欄にお願いいたします。)
第5回目は、3つめの原則「即時性の原則」です。
即時性とは?
英語では「immediacy」。緊急性とも訳すことができる言葉です。
学習における即時性とはなんでしょう。
「学びをすぐに使うこと」と言っても良いでしょう。
例えば、セールストークについて2時間の研修をするとします。研修の後半ではセールストークを二人一組になって交代で一人10分ずつの実演してもらうことにします。
(セールストーク研修)
1.講義(50分)準備、資料、つかみ、ストーリー展開、クロージング
2.セールストークの準備(20分)シナリオ作り、スライド作成、
3.セールストークの実践(30分)1人10分x2人、フィードバック
4.まとめ(20分)
このようなデザインのワークショップでは、「即時性の原則」が働きます。
研修が始まる前にこれから学ぶことを、すぐに実践してもらうことを学習者に伝えると1の講義や2の準備に起こる学びは、3の実践がないような学びよりも、効果的な学びになるというものです。
3の実践が研修に含まれていなければ、2の準備への取り組みもおろそかになることがあります。
すぐに必要になることについては、学習効果が高くなるというものです。
逆にすぐ必要にならないものについては、すぐ必要になる学びよりも学習効果が高まらないということです。
なんだ、こんなことなら「即時性の原則」なんてわざわざ呼ばなくても、普段から意識して使っているよ、という人もいらっしゃるでしょう。
このような原則を意識せずとも、「即時性の原則」を働かせていることと思います。
学びのタイミング
この「即時性の原則」をどのように用いることができるでしょう。
有効利用のひとつは、実践の直前に学びを入れることです。
期末に次期の目標設定を行わなければならないとします。あなたの組織では期末からの3週間で次期目標を設定する事になっているとしましょう。
より良い目標設定をするために、目標設定の作業を開始する直前に目標設定の学びを計画するわけです。
そのように実践の直前に実践する事柄について学ぶわけですから、すぐに必要になることですから、学びは深まるわけです。
いつ必要になるのかわからない事についての学びは、それほど効果のないものとなります。
学校の授業を思い出して頂ければわかるでしょう。
定期テスト前に先生が教えてくれた「ここ定期試験に出します!」という箇所の学びは効果が上がるのも、ある意味「即時性の原則」を用いていると言って良いでしょう。
学習効果を高めるために、何かを学ぶ時タイミングに注意を払うことができるでしょう。
すぐに使うこと以外を学ばない
この原則を意識して何を学ぶかについて取捨選択をすることができます。
何かの学びの機会がある際に、近い将来に学んだことを使う必要があるだろうか?と考えてみることをお勧めします。
もちろん、趣味や一般教養として学ぶので、学んだ内容をすぐに使う必要がなくても身につけたいということもあるかもしれません。
しかし、自分に今これが必要だろうかと考えると、学ばないと言う決断によって時間や費用を削減する事もできます。タイミングを変えることもできます。
また、これを逆手にとって、すぐに実践で必要となる内容の学習機会を計画する事もできます。例えば、「目標達成率が10倍高まる手帳の使い方」という学習機会を11月〜12月に実施するなど考えられるわけです。
はい、既に実践されている方が多いかも知れません。
学びには実践を! 実践の前には学びを!
学びの機会を提供する側であっても、学習者の側であっても、何かを学んだら、できるだけ早い内に実践をすることをお勧めします。学びの定着のために役立ちます。
ある調査によると、何かを学んでから72時間以内に学びに関連した何らかの実践をしなければ、そのことについては以後、全く何もしないという結果が出ています。
また、何かを実践する前に何か一つでも学んでから実践すると、効果的な成長機会ともなります。
研修などの学習機会が設けられていなくても、意識的に学習機会をつくる事で学びが深まるのですから、用いない手はないでしょう。
あなたが今この投稿から何かを学んだとしたら、すぐに何らかの実践をしてみてはいかがでしょう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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