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【読書】米田一彦『山でクマに会う方法―これだけは知っておきたいクマの常識』
群馬県で行われるトレイルランニングの大会に参加するため、学生時代から度々お世話になっていたスキー場のペンションに、昨年の秋、久しぶりにお邪魔しました。この本はその際にオーナーと熊の話題になって、お借りしたものです。当然ながらレースコースやペンション周辺も生息地です。
(この読書メモは、2017年4月に書いたものです)
運が良いのか悪いのか、これまでのところレースでもトレーニングでも熊には遭遇していません(半信半疑の微妙なやつは一回あります)。ですが、昨年は地元の山でも多数の目撃情報があったし、頻繁に出張していた秋田県ではさらに深刻な事件が報道されました。トレイルランニングを続けて行く上で、このリスクから目をそらしっぱなしというわけにはいかないと思っています。
実は、平日にも可能な限りトレーニングをということで、ぼくはしばしば出張先でも夜明け前に起床してランニングをしたりします(”出張ラン”と呼んでいます。知らない土地を走るのは、意外と楽しいのです)。この本に載っているフィールド調査区域”仁別国民の森”は、秋田出張時にぼくが走っていたエリアから直線距離でわずか9km先でした。ひょっとしてもうちょっとがんばったら熊に会えたのかもしれません。
『山でクマに会う方法』という”会いたい”のが前提のタイトルがちょっと笑えるのですが、読んで熊の生態を知るにつれ、ちょっと会ってみたい気もしてきました。むやみに恐れるのではなく、重要なのはいざその時の知識と装備と心構えなのかもしれません。それらを学ぶのにはとても良い本だったと思います。
……ですが、さて、本当に遭遇したときに自分が冷静でいられるかどうかというところには、一抹の不安が残ります。
(オーナー、ありがとうございました。昨秋は以前からお借りしていた気象の本を20年経ってようやくお返ししましたが、今回はそんなにかからずにお返しできると思います)
(2017/4/16 記、2024/11/30 改稿)
米田一彦『山でクマに会う方法―これだけは知っておきたいクマの常識』山と溪谷社(1996/10/1)
ISBN-10 4635230023
ISBN-13 978-4635230025