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【読書】北島英明『山岳遭難は自分ごと 「まさか」のためのセルフレスキュー講座』

ふだんトレイルランニングのトレーニングで入る山は、そんなに山深くはありません。それでもふとした拍子に間違った踏み跡に入りそうになったりして、ときどきハッとさせられます。基本、単独行なので、いつまでも自己流では不安は否めず、登山技術について少しづつでも勉強しようと思っています。

この本は都岳連救助隊隊長の方がまとめただけあって、怪我人の搬送方法や応急処置、補助ロープの準備方法にまで触れています。このあたりをすぐに実践するのは自分には少しハードルが高いかもしれません。

ですが「登山計画の準備と提出」というのは、心がけ次第ですぐにできそうに思いました。

・対象山域とコース
・アプローチ方法、予想時間
・服装とザックの色や特徴
・装備内容、同行者情報
・管轄警察署

これらをあらかじめ家族や知人(いざという時に通報してくれる人)に伝えておくことにより、もしものときの捜索の開始を早める……ということです。メールで送っておくくらいならそんなに面倒じゃないかもしれない。

また、この本は、本編の内容もさることながら、いくつか取り上げられている遭難事例が結構衝撃的な内容で考えさせられました。

必ずしもすべての遭難に本人の過失があるわけではないようです。技術や経験を持った人たちも死んでいるし、また意外と身近な山でも事故は起こっています。自分が今のところ当事者になっていないのは、単に幸運だっただけかもしれません。

常に体調が万全とは限らない。怪我などのトラブルでペースが落ち、結果として水や食料が底をついたり、日が暮れたりするかもしれない。視界の悪い中、足を踏み外して藪の中へ数メートルも滑落したら、たとえ整備された登山道のすぐそばだって、通行人からまったく見えなくなってしまうでしょう。自分が意識を失って、人にも気づいてもらえず、その山に入ったことを誰も知らなければ、どれだけ時間が経っても救助は来ません。こう考えると「死」が急激に現実味を帯びてきます。

「もしもあなたが登山届を出していて遭難してしまったとしたら、私は『がんばって3日間待て』と言いたい。その間に必ず救出されるはずだ。信じてほしい」 ── P46 山岳遭難事例から学ぶ1 より

登山届は単独登山者の生命線。そして仮に行動不能に陥っても3日間生き延びる技術と装備。今後トレイルで距離を伸ばすときには少し意識したいと思います。

(2017/9/2 記、2024/12/14 改稿)


北島英明『山岳遭難は自分ごと 「まさか」のためのセルフレスキュー講座』山と渓谷社(2017/2/24)
ISBN-10  463551045X
ISBN-13  978-4635510455

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