【読書】ブルース・チャトウィン『ウィダの総督』
19世紀の西アフリカで権勢を誇った奴隷商人とその末裔の物語。『パタゴニア』に続くブルース・チャトウィンの2作目の長編です。主人公の奴隷商人シルヴァには、デ・ソウザという実在のモデルがいるようです。
奴隷商人というと世界史の授業では悪の権化ですが、ブルース・チャトウィンは、こういったことを善悪二元論で単純化しません。良いも悪いもともかく書いて、余計な評価は加えない。両面合わせて人間であり、だから面白いのだと、そんな姿勢が感じられます。
ここで描かれる主人公は、極彩色の欲望と