国際宇宙ステーションと金星は似ている。
仕事終わりに、
「今からISSを見ましょうよ」と声を掛けられた。
「すみません、ISSって何ですか?」
「国際宇宙ステーションよ」
18:25。
南東の空に見えるという。
初めて見る。
乱視の入った悪すぎる私の視力で見えるものなのだろうか。
「あれですか?」
一際明るい光が見える。
「あれは、金星でしょう」
「じゃあ、あれ?」
「あれは、飛行機」
見たこともないものだから、見るもの全てがISSに見える。
「あ、来たよ!」
声がする方を見上げると、
ハッキリとした光がゆっくりと真っ直ぐ動いていた。
大きさ、形ともに、金星と同じ。
動く金星のようだった。
時計の針くらいの速さで通り過ぎていく。
60代の人は、
「初めて見た。俺が生きている間にはもう見ないだろうな。君たちはまた見るだろうけど」
といい、他の人に、
「ハレー彗星じゃあるまいし。また数週間後には見られますよ」
とツッコまれていた。
あそこに人が乗っているのか。
向こうからこちらを見ていたなら、
どう見えているんだろう。
見えないだろうけど、
大きく手を振った。
「ははは……」
周りの人が笑った。
いい時間だなと思った。
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