負の数×負の数=正の数になる理由を解説!!
中学校1年のとき、数学で最初に習う単元として「正の数と負の数」というものがあります。
そこで、多くの人が「なぜ!?」と思うものがあります。
それは…
負の数×負の数=正の数
というものです。
今回は、なぜ「負の数×負の数=正の数」なのかを解説します。
1 教科書の説明
「負の数×負の数=正の数」の説明として中学校の教科書にはこう書いてあります。([ ]内は著者による補足)
確かにこの説明で「なるほど、納得できる」と思う人も多いかもしれません。
しかし、この説明ではすべての実数において「負の数×負の数=正の数」という保証はどこにもないのです。
2 どのようにして証明するか
では、どのようにして証明すれば良いのでしょうか。
ここでは、ある数 a とある数 b (どちらも実数)について「$${a\times b=(-a)(-b)}$$」が成り立つことを証明します。
証明方法はディオファントス(エジプトに住んでいた数学・哲学者)が行ったといわれる方法を使います。
3 実際に証明!!
まず、次のような数「x」を定めます。$${x=ab+(-a)b+(-a)(-b)}$$この式の右辺(「=」の右の式)について「$${-a}$$についてまとめる」のと「$${b}$$についてまとめる」の2つのことを行います。また、この証明には「分配法則」を使います。
i) -aについてまとめる
xの式を分配法則より変形して、$${x=ab+\{b+(-b)\}×(-a)=ab+0×(-a)=ab}$$
ii) bについてまとめる
xの式を分配法則より変形して、$${x=\{a+(-a)\}×(-b)+(-a)(-b)=0×(-b)+(-a)(-b)=(-a)(-b)}$$。
この i ($${ab}$$)と ii ($${(-a)(-b)}$$)はどちらも x なので、$${ab=(-a)(-b)}$$が成り立ちます。
すなわち、すべての実数について「負の数×負の数=正の数」が成り立ちます。
(分配法則が成り立たない数は例外です。)
いかがだったでしょうか。ほかにもこの話も含めて算数や数学で習った事柄を証明するのは楽しいなと思っていただければ幸いです。
[この記事は、個人的な見解を含むので誤りが含まれている場合があります。誤りの部分についてはコメントでご指摘していただけると幸いです。]