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145.どこを見ているかが分かれ道|映画感想⑤『キングダム2 遥かなる大地へ』
ごきげんよう。
先日、映画『キングダム2』を観てきました。
原作(漫画)は好きでずっと週刊連載を追って読んでいたものの、映像作品の方はアニメも実写も観ておらず、今回も実は当初は「別にいいかな」と思っていました。
ところが以前にも書いた通り最近は映画を観るのがマイブームになりつつあるのと、周りの友人知人が絶賛していたのもあり、がぜん観てみたくなって行った次第です。
特に「前作未見でも観た方がいい」という友人たちの熱い推しにやられました。
そんなわけで、ここからは観てみての感想です。
ネタバレは極力カットしていますが、未見の方はご注意ください。
結論としてはめっちゃ面白かった
感想ですが、ひとことで言うとこの一言に尽きます。
面白かった!!
3もぜひ観たくなりました。
ただ、手放しで全面的に最高、どこを切っても完璧!
…という感じではなくて、個人的にはむしろツッコミどころはいっぱいあったんですが、それをねじ伏せる迫力とパワーがありました。
先日観た『トップガン・マーヴェリック』もそうでしたが、この作品も映画館で観るべき映画だと思います。
よかったポイント
ストーリーの分かりやすさ
原作を読んでた身としても面白かったし、不自然に端折った感じもせず、うまくまとめたなという感じです。
初見の人と一緒に観に行ったんですが、初めて観る(原作も「1」も観てない)立場でもわかりやすかったらしいです。
ただ、ひとつだけずっと「?」が浮かんでたポイントがあって、何かというと河了貂(かりょうてん)の存在だそう。
確かに、詳しくはネタバレになるので伏せますが、政と家臣たちの緊迫したシーンで毎回映るテン(河了貂)の姿は、特に「引き」の視点で見る度にシュールなものを感じました(笑)
キャストの方々の熱演
・嬴政(えいせい)は男から見てもカッコよかった
→吉沢亮のビジュアルもさることながら、冷静沈着に振る舞いながらも、心の奥底に熱いものが滾っているような空気感があり、若き王!という感じがカッコよかったです。
・信は漫画よりだいぶ男前な感じ
→信は原作と比べると、見た目はだいぶシュッとしてイケメンになったな、という印象でした。ただ、喋って動いているのを見ると、直情バカなところや迫力のある殺陣からキャラの強さや気迫が伝わってきて、違和感なくハマってたと思います。
・王騎将軍はやっぱりめっちゃハマってた
→「1」は観てないのですが、その当時から王騎将軍のドンピシャっぷりは噂には聞いていました。
とはいえ
「アレをどう再現するっていうんだ…!?」
と正直思ってたんですが、登場して喋るのを見た瞬間、
「あ、王騎や」
となりました(笑)
登場シーンは決して多くはありませんでしたが抜群のインパクト。流石でした。
・個人的には尾平のハマりっぷりに花丸をあげたい
→信の息の長い仲間として、シリアスからコメディリリーフまでこなす名脇役の一人、尾平。原作ではなかなか特徴的な顔立ちをしているのですが、映画ではかなりの再現度でした。
しかも、それでいてしっかり場面に溶け込み、真剣なシーンでもノイズに感じなかったので、尾平役の人、すごいなと思いました。
(岡山天音さんという俳優さんだそうですね)
・「みんな言うよね」と言われても、やっぱり橋本環奈は可愛かった
→これはもう、事前に色んな人から
「どいつもこいつも結局は『橋本環奈かわいい』って言うんだよ」
と釘を刺されてましたが、やっぱりそりゃあ可愛かったです(笑)
ただ、かわいいだけでなく、河了貂という、ある意味で劇中トップクラスに実写向きじゃないキャラをしっかり演じ切っていて、流石だなあと思います。
あとは麃公(ひょうこう)将軍も、原作再現度という点では個人的には「?」なものの、あれはあれでカッコよかったですし、クライマックスで壮絶な戦ぶりを見せた千人将の縛虎申、彼を演じた渋川清彦さんも迫力の熱演でした。縛虎申、アツかったよ…!
そんな具合に挙げたらキリがないくらいの、各キャラとそれを演じた役者さんの熱演が、この映画の魅力のひとつだなと思いました。
あ、決して悪いわけじゃないけど、壁さんは個人的には
「ちょっとイケメンすぎやしないかい?」
と思います。漫画だともうちょい締まらないイメージでした(笑)
予告編のあのシーン
さて、登場人物の話をしてて、一人めっちゃ重要なキャラの話を飛ばしてました。
そう、羌瘣(きょうかい)です。
羌瘣については、ぶっちゃけ一番のネックになるだろうなと観る前は思っていました。
服装から動きから、キャラ設定が一番「漫画的」で、実写だとめっちゃ浮くだろうなと。
そこらへんのところが実際どうだったかは、ぜひ映画を観てご自身の目で確かめてみて欲しいです。
個人的には、最初こそ違和感があったものの、観ている間にどんどん魅力的になっていくように感じました。
これは脚本や演出の力ももちろんあるだろうし、そしてやっぱり演者の力だと思います。清野菜名さん、熱演でした。
極めつけはやっぱりあのシーン。
ここ最近、月1~2くらいで映画館に行っていたので、この映画の予告編も何度も見てきました。
だから、
「だってお前はまだ生きてるじゃないか!」
という、例のシーン(下記リンク参照)も何度も観てたんですが、それでもここでは鳥肌が立ちました。勿論いい意味で。
名台詞や名シーンというのは、それそのものではなく、そこにいたる背景が大事なんだなと体感する機会でした。
学び的なもの
また、そんな風に楽しく観つつ、学び的なものもありました。
見ているところの違いが選択の違いを生む
劇中、信は仲間や敵が思いもつかないような、あるいは思いついてもやらないような行動を何度も取るのですが、それは信がぶっ飛んでるからとか、主人公だからとかではなく(いやそれもあるかもしれませんが)、前提が違うんですね。
信は「天下の大将軍」を本気で目指しているから、
「生き残りたい」とか、
「武功を挙げて褒賞を得たい」とか、
「復讐したい」とか、
「国を守りたい」という動機で動く他の兵や将とは、見ているところや行動基準が根本的に違う。
その人の前提、根本の動機、見ているところ。
そういったところに注意を払うというのは、普通に現実でも役に立ちそうだと思いました。
また、信の目指す道の途中にいるといえる麃公や、目指す頂きに非常に近いところにいる王騎といった「将軍」達と現時点の信との、目線の高さや視野の広さの違いが浮き彫りになるシーンも興味深いところでした。
これに関しては、現実に落としこむといってもいきなり視座を上げたりするのはなかなか難しいと思うので、そういう目線や視野のスケールの違う人と接する、とかでしょうか。
なかなかそんな人と会話するような場面も普通は無いかもしれませんが、そういう機会があれば大事にしたいところです。
自分の目指す道、その道の先を歩いている人の存在
直前の話と被りますが、信にとっての麃公将軍や王騎将軍のように、自分が「こうなりたい」と思っているまさに「そこ」にいる人や、その道において自分より先を歩んでいる人の存在って大事だな、ということも感じました。
なぜならギャップに触れることができるから。
目指すものと、現状の自分とで、どこにどんな風な違いがあるのか、それを知れる機会って、社会に出ると実はあんまりない気がします。
学校の勉強であれば、テストの得点や偏差値など、数字で一目瞭然です。(それが良いか悪いかは別の話として)
スポーツや習い事なども、トッププロの世界とかはどうか分かりませんが、ある程度まではそのギャップは分かりやすい気がします。
ギャップがわかるということは、どう頑張ればいいかがわかるということです。
しかし、目指す先がまったく未知の領域だったりしたら、何をどう頑張っていいのかわかりません。
一兵卒(というかなんなら最初は奴隷)の信が、天下の大将軍を目指すというのは、そういう話だと思うのです。
もちろんそんなスケールのでかい話じゃなかったとしても、あるいはそんなに具体的じゃなかったとしても、「ゆくゆくはこうなりたい」という方向において、その先にいる人ってめちゃ重要なんじゃないかな、と思ったのでした。
「なんか学び的なことないかなあ」と考えるのは僕のここ何年かの癖なので、別にこれが正しい見方とも思ってませんし、学びを見出さなきゃならないものとも思いません。
純然たるエンタメ目的で観ても十分値打ちのある映画だと思います。
ただせっかくなので、自分は自分の得た学びらしきものも大事にして、何かしら活かしていこうと思います。
それでは、今回はこの辺で。長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!