狩猟銃の基礎知識 空気銃
空気銃の形式は3種類
文字通り、空気の圧力で弾を撃ち出すのが空気銃だが、その空気を圧縮する方法によって、いくつかの形式がある。
最もシンプルなのがスプリング式で、スプリングの力でピストンを勢いよく前進させ、シリンダー内の空気を押し出して弾を発射するタイプだ。子どものころにつくった(年代にもよるだろうが)、竹鉄砲と原理は同じである。
違うのは強力なスプリングを押し縮めるためにテコの原理を利用しなければならない点だ。単発式で、一発撃つたびにコッキングが必要となる。価格は安いが、残念ながらスプリング式は命中精度と威力の点で、ほかの方式に一歩及ばない。
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一方、ポンプ式は、銃本体内に圧縮ポンプを内蔵し、低価格でありながら命中精度の高い形式だ。漫画『山賊ダイアリー』のなかで、主人公が使用していたシャープエースハンターが代表モデルになる。
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発射手順としては、レバーを3〜8回開閉して空気を圧縮し、引き金でバルブを開放することで空気を放出し弾を撃ち出す。これも単発式で、一発撃つごとにポンプ作業が必要だが、かなりの力を必要とするため、一般的な女性には扱えないかもしれない。
現在、空気銃の主流となっているのがプレチャージ式だ。あらかじめシリンダー内に空気を200気圧ほど充填しておき、一発分ずつ必要な空気を放出する。最大で5連発のため、二の矢(獲物が即倒しなかった場合に撃つ2発目)を素早く放てる、というメリットは大きい。
威力や命中精度もほかの形式とは比較にならず、50mでカモの頭部を正確に狙撃することも可能だ。空気銃弾のエネルギーはft/lbs(フットポンド)という単位で表されることが多いが、カモなどの大型鳥類の致死威力は、通常7ft/lbs程度といわれている。
口径などにもよるが、スプリング式やポンプ式の銃口値で約12ft/lbs、それがプレチャージ式なら最大で約35ft/lbsにもなるのだから、いかにすごいかがわかるはずだ。
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Writing 小堀ダイスケ
※当記事は『狩猟生活』2017VOL.1「狩猟銃の基礎知識」の一部内容を修正・加筆して転載しています。