狩猟銃の基礎知識 散弾銃
国内のハンターに、最も多く所持されているのが散弾銃だ。用途が広く、様々な獲物に広く対応できるのがメリットだが、その分、銃自体の種類も多
い。大きく分けただけでも、元折式、スライド式、レバー式、ボルト式、自動式、の5つにもなる。
元折式のなかにも単身単発式、水平二連式、上下二連式の3種類、自動式のなかにも銃身後退式、ガス圧利用式の2種類があるのだから大変だ。
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また銃の形式とは別に、散弾のパターン(広がり方)を調整するため銃口部を少し狭くしたチョーク(絞り)という部分があり、ここをどう選択するかによって獲物への有効射的距離が変わってくる。
たとえば口径12番の場合、まったく絞っていないシリンダーなら銃口の直径は約18.5㎜だが、最も絞ってあるフルチョークなら約17.5㎜となる。この1㎜の差は大きく、フルチョークなら散弾をあまり散らさずにまとまった状態のまま、より遠くまで届かせることができるのだ。
これは距離のあるカモ猟などには有効である半面、足元から飛び立つキジを撃つような状況では不利となる。なるべく早い時点で散弾のパターンを広げ、かつ、ある程度の距離まで有効射程を伸ばしたい場合、中間のモデチョーク(18.0㎜)あたりがベストな選択だろう。
ほかにも、インプシリンダー(約18.3㎜)、インプモデ(約17 .8㎜)な
ど、狩猟用散弾銃に使われるチョークは特殊なものを除き合計5種類ほど。
それをネジで取り外せるのが交換チョークで、銃身ごと交換する必要がないため、狩猟には最適だ。
散弾銃の銃身は原則的にスムースボア(滑腔)なので、ライフルドスラッグを撃っても弾は回転しない。それを回転させるのがハーフライフル銃身とサボットスラッグ弾の組み合わせで、スラッグを覆うプラスチック製のサボットがライフリングに食い込んで回転する。
サボットは銃口から撃ち出されたあとに分割して落ちるので、中のスラッグ弾頭だけが回転を保ったまま飛んでいくという仕組みだ。 銃の形式としては自動式、スライド式、ボルト式などと組み合わせる場合が多く、なかでもボルト式のハーフライフル銃身は高い精度を出せる。理論上は100mでシカに命中させることも可能だが、サボットスラッグ弾は値段が高いのが欠点だ。物によっては一発700円(!)もするので、たくさん撃てないのがつらいところかもしれない。
散弾銃の口径は410番、20番、12番の3種類が一般的で、圧倒的に12番が最も多く流通している。
12番は散弾なら女性でも普通に撃てるが、スラッグの反動はかなりのもので、男性でも音を上げる人がいるほどだ。その点、20番であれば、散弾、スラッグともに反動が軽く、威力もそこそこあるので、選択肢に入れる価値は十分にあるだろう。
410番は、スラッグ弾を罠にかかったイノシシやシカなどの止めに使う人がいるが、それ以外の用途では威力がないため、最初の一丁としてはあまりおすすめしない。
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Writing 小堀ダイスケ
※当記事は『狩猟生活』2017VOL.1「狩猟銃の基礎知識」の一部内容を修正・加筆して転載しています。