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狩猟のためのナイフ考 PART3

シースナイフ

シースとは鞘のことで、ブレードが固定されているのがシースナイフである。ブレード後部がハンドル内の途中まで埋没している物をブラインドタン
グ、ハンドルを貫通し後端で固定されている物をナロータング、ブレードの後部そのものがハンドルを兼ねている物をフルタングと呼ぶ。

ブレード後部がそのままハンドルとなっているのがフルタング。
頑丈だが、物によっては重心がうしろ寄りになってしまう場合がある
フルタングをテーパー状に削り込んだテーパータング。
製作に手間がかかるため高価なカスタムナイフに使われるデザインだが、
重心が前方に移動し、長時間の作業でも疲れにくい
ブレード後端をハンドルエンド部に連結固定させたナロータング。
ハンドルデザインに融通がきくため丸く握りやすいハンドルがつくれる
ブラインドタングはハンドル内に小物収納スペースが設けられる半面、
構造上、強度が低くなるので一流メーカー品であることが重要。
安価なサバイバルナイフなどは実用に向かない物が多い

強度的にはフルタングが一番頑丈だが、握りやすさの点ではナロータングに軍配が上がる。ブラインドタングはハンドル内に小物の収納スペースを設けることが可能で、いわゆるサバイバルナイフなどがこれに相当するが、あまり実用的とはいえない。

シースナイフを選ぶうえで重要なのは、ナイフ自体にスキ間がないことと、シースが頑丈であることだ。ヒルトやハンドルとブレードの間にすき間があると、そこから水や獲物の血液が浸入して腐食を起こす。すき間なくすべてのパーツが完全に密着していることが、よいシースナイフの条件なのだ。

❶ポイント ❷エッジ ❸リカッソ  ❹ヒルト ❺ハンドル ❻ソングホール

シースナイフを選ぶうえで重要なのは、ナイフ自体にスキ間がないことと、
シースが頑丈であることだ。ヒルトやハンドルとブレードの間にすき間があると、
そこから水や獲物の血液が浸入して腐食を起こす。すき間なくすべてのパーツが
完全に密着していることが、よいシースナイフの条件なのだ
一流メーカーのシースナイフは、ブレードとヒルトを銀ロウやエポキシなどで
完全に密着させている。ここにすき間があると水や獲物の血液が浸入し、
ナイフの寿命を縮めてしまう

シースナイフを選ぶ際は、鞘であるシースにも気を配りたい。どんなによいナイフでも、収めるシースがヘナヘナでは使い物にならない。万が一、転倒した場合などを考えると、頑丈なシースでなければ危険なのである

シースナイフには文字通りシース(鞘)が必需品。
右から革製ストラップ付き、革製フルカバード、ナイロン製、カイデックス製。
カイデックスは強度があり、丸洗いも可能なため、血脂まみれになってしまう
ハンティングナイフには向いている
シースはとにかく厚く頑丈な物でなければ腰に着けることはできない。
下のようなペラペラのシースでは、転倒した場合などにナイフが突き破る可能性があり危険だ

※当記事は『狩猟生活』2017VOL.1「狩猟のためのナイフ考」の一部内容を修正・加筆して転載しています。

Profile
こぼり・だいすけ

27歳で散弾銃を所持し、その後、狩猟免許を取得。 第一種銃猟・わな猟・網猟と3種の狩猟免許を持つ。これまでに扱ったナイフは200本以上、所持した銃の合計は30丁と、豊富な知識と経験を活かし2013年からライターとして活動を開始。国内ではほぼ唯一の狩猟・銃・ナイフの専門ライターとして、狩猟専門誌などで執筆を続けている。現在、一般社団法人栃木県猟友会の事務局長を務める。趣味はオートバイ。共著に『狩猟用語事典』(山と溪谷社)がある