魔性の風

ゆらゆらと揺れるほのおのような
憂いが込められた風が窓から入ってくる
魔性ましょうの風は私の心を焦がし
メランコリーの花を植えつけてゆく

植えられたメランコリーの花は
おぞましい程の薫香を放ち
それはたちまち倦怠を起こさせ
私をベッドのうえに縛りつける

ああ 苦しい━━
苦しいはずだのに どこかなまめかしい
死の快楽がおどっている

魔性の風はことさら強い憂いを
ピストルに弾丸たまを込めるようにして
今に私を撃ち抜こうと狙っている


(2024.9.22)

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