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飲めば疲労回復? ATPを配合した医薬品の有効性はどれほどなのか?

 生物の授業でATPという物質を習ったかと思います。ATPとは、アデノシン三リン酸の頭文字をとったもので、生物の細胞内に存在するエネルギーの供給源です。
 アデノシンのリボースに3分子のリン酸が結合しており、リン酸どうしをつないでいる結合部分を高エネルギーリン酸結合と呼びます。
加水分解によって、リン酸部分が切り離されるときに高エネルギーが放出され、これが生命活動の維持に必要なエネルギー減となるわけです。

アデノシン三リン酸の化学構造

市販薬の中には、このATPを主成分とする医薬品が存在します。その名も、パニオンコーワ錠です。パッケージにもATPとはっきり書かれていますよね。
 公式ウェブサイトによれば、「ATPとビタミンB類が細胞のエネルギー代謝を高め、年齢やからだの変調などからくる不快な症状やたまった疲れを改善する」との記載があります。

ATPに加え、4種のビタミンB群を配合した同製品ですが、効能効果は以下のとおりとなっており、年齢や体の変調などからくる身体各所の不快な症状を緩和する効果が期待できるとされています。

●疲労回復、脚気様症候群(全身倦怠、しびれ、むくみ、めまい、食欲不振、心悸亢進)及び脚気、熱性・消耗性疾患の補助療法
●神経痛、腰痛、背痛、関節痛、関節炎、五十肩、肩こり

 今回の記事では疲労回復や疼痛の緩和に対する経口ATP製剤のエビデンスを整理したうえで、販売実務上の対応を考察してみたいと思います。


今さら聞けない!?ATPとその働き

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