「読書感想文」聖書がわかれば世界が見える
ニュースを分かりやすく解説するジャーナリスト池上彰さんの本です。
ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」などを読んでいると、聖書の引用が多数出てくる。他にも、海外映画をみていると、聖書を知っていること前提での会話がしばしば出てくる。
『聖書』知らないとダメだな〜と、なんとなく感じていて、「小説 聖書 旧約編」を図書館で借りて読んだりしたけれど。とにかく、長くて、途中で断念してしまった過去がある。
そんなことが頭の片隅にあった私は、新聞広告にこの本を見つけた。「池上彰さんだし、わかりやすそう!」と早速、手に取った。
「旧約聖書」「新約聖書」「イスラム教コーラン」を、ざっと読める。モーセの「十戒」などは、映画にすると3時間40分にわたるのだけれど、本書ではp60~p64にまとめられている。ありがたい。「ノアの箱舟」や「受胎告知」、ユダヤ教徒やローマ帝国、そして近年へ続くキリスト教の分裂の流れを、ポイントを押さえながら把握していく。
キリスト教における「天地創造」では、人間は神によって地上の支配者にされたという。この根本的な思想が、今日にいたる自然破壊がすすんだという指摘もあるのだとか。
「十字軍」の遠征と、「ジハード」聖戦は、決して世界史の過去のことではなく、現在のイスラム世界「アルカイダ」へ続いている、と。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻は、同じキリスト教の中の、モスクワ正教会管轄下のウクライナ正教会、2022ウクライナ正教会、2018ウクライナ正教会、カトリック教会(東方典礼カトリック教会)という4つの宗教界による主張の違いが関係しているとのこと。
宗教とは、人の心の拠り所であり、思考の根源であり、世の中を理解するための筋書きでもある。指導者次第で戦争を推進する力にもなってしまう、宗教の強さと恐ろしさを痛感する。
人が幸せになろうと、心の拠り所とし、祈り、世の中を生き抜く術として生まれた宗教。けれど、その強い信仰心によって、またその主張の違いによって、血なまぐさい紛争や残虐な戦争が発生してしまう、とは。
私にはこれといった信仰する宗教はありませんが、実家は曹洞宗のお寺の檀家です。
仏壇に手を合わせ、お墓参りへいき、般若心経を唱えるので、仏教徒でしょうか。
私自身としては、水の神様、火の神様、土の神様、風の神様、という八百万の神の考え方が好きです。たくさんの神様に見守られている方が、気楽で身近で、あたたかい気がするのかもしれません。辛くて泣きそうなとき、「あ〜神様〜」と祈るときに私の頭に浮かぶのは、「千と千尋の神隠し」に出てくるようなしわしわの神様です。
人の思想はそれぞれです。
世界へ目を向けた時、「どうしてこんなことに…」「なぜそんなことが…」という出来事に、もしかしたら、キリスト教の『聖書』にその謎や答えがあるのかもしれません。
世界の多くの人々が、人生の指針として読み返す本を、ざっと知っておくには、とても分かりやすい本でした。
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