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カレーチェーン店へ行きたい。
夫が突然、「カレーチェーン店に行きたい」と言い出した。
なにやら、テレビ番組で、そのチェーン店の特集をしていて、1番人気メニューやら、人気のトッピングランキングやらを観てからというもの、「それがめちゃくちゃ美味そう」で「口がもうカレー」なのだとか。
「あのテレビ番組でやっていた人気ナンバーワンメニューのカレーを、あの人気ナンバーワントッピングで食べたい」のだと。
彼は普段、「お昼ご飯どうしようか?」と聞くと「何でもいいよ」という。「な」と打てばおのずと「何でもいいよ」と変換される機能の持主である。「お昼ご飯」を「晩ご飯」に変えたとて、しかり。「何でもいいよ」と言って食べるのは「何でも美味しく食べられる」という彼の好き嫌いのなさが含まれている。冷奴に白飯でも、ガツガツ食べられる人なのだ。
そんな彼の「カレーチェーン店に行きたい」発言は、ゆえに極めてレアなのだ。
そういえばここ最近、久しくあのカレーチェーン店へは行っていない。カレーはもっぱら、家のカレーで過ごしていた。
「よし、カレーチェーン店へ行こう!」
かつて、あのカレーチェーン店へ毎週のように行っていた時期があった。
あれは14年前、夏休みで、真夏のさなかに、私は辛いものにはまり、「4辛」「5辛」「6辛」と取り憑かれたように、毎週レベルアップして辛さの頂に挑んでいたのだ。
とうとう「10辛」で、胃がおかしくなった。汗という汗をかきながら、もう何への闘志かわからずも、果敢に激辛カレーを食べた末。
その後1週間、食欲はなくなり、胃もなんだかずっと重たく、どんよりとして体調まで壊してしまったのである。夏バテのように、だるく疲れやすく、さっぱりとしたものしか受けつけなくなった。調子にのって「10辛」とか食べてしまった自分を、扇風機の前で、うだうだしながら呪った。
そうしてさらに、1週間が経っても、体調不良は続いた。なんとなく「10辛」のせいにしては回復が遅過ぎる違和感。微熱まで出るほどだ。胃の不調、だるさ、微熱…。
もしや。まさか。
そう、それがちょうど14年前。もうすぐ14歳になる三女が、お腹にいることに気がついたのでした。
「カレーチェーン店」に向かいながら、三女にそんな『誕生秘話』をすると、
「だから私は色黒なのか」
と妙な納得をしていた。彼女には少しターメリックが入っている、とかいないとか。
さて、カレーチェーン店に到着である。
店内は賑わっていて、夫のようなテレビ番組効果で「口がもうカレー」な人たちなのかもしれない。テレビ番組の影響は大きい。
私はその番組は観ていないので、好きなようにトッピングし、ほどよく「4辛」を選ぶ。
そして夫は、念願の久しぶりのカレーチェーン店、「あのテレビ番組の人気ナンバーワンメニューのカレーを、あの人気ナンバーワントッピングで」を選ぶのだ。
長いことメニュー表を見ながら選んでいる。
ものすごい見ている。
「えーっと。人気ナンバーワンメニュー…
どれだったかな…。」
え?
「まぁ…何でもいいか。」
うそん。