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つばさのおくりもの 「読書感想文」
これはぼくの半生をまとめた物語だ。
ぼくは、オカメインコ。頭には、小さいけれど、立派なかんむりをかぶっている。
ポプラ社さんから、小川糸さんの作品です。
オカメインコのぼくは、いろいろな人たちと出会い、インコの視点で物語は綴られる。優しいヤエさんと話ながらいるとき、機嫌よくつい口ずさんでしまう うた。
ヤエさんは、決してそのうたを忘れないように、とぼくに教えてくれる。
あったかくて、ふかふかして、やわらかいなにかをおもいだしそうになる。
オカメインコのぼくは、あまり記憶をたくさん持っていられず、ところどころ朧げで、世界はとても広いところに感じる。
一生懸命飛んで、飛んで、どうしてこんなに飛んでいるのかわからなくなるほど飛んで、たどり着く1本の木。
ぼくは、決して忘れてはいけないうた、の背景をおもいだす。
うちにも鳥がいた。私がこどものころ。セキセイインコの黄緑色のミュー、そのあと黄色のミッキーと水色のミニー(ミッキーはメスでミニーがオスだったことがのちに発覚する)、白文鳥の夫婦。白文鳥の夫婦は、とても仲が良く卵を産み、ヒナが二羽 孵った。毛も生え揃っていない、小さなあやうい肌色の、口ばっかりが大きいヒナたちに、アワやヒエやの餌をすり潰し、水と練って、割り箸で餌を与えた。大きくなっていくうちに、ヒナたちは自然と手乗りになった。白く綺麗な羽になり、綺麗なピンク色のくちばしで、寝ている私の鼻を齧っていた。
ふわふわで、たまごの匂いがした。
小さいのに、ちゃんとあたたかく、その小さな温もりが心地よかった。
機嫌のよいときはうたい、二羽の兄弟たちは仲良く踊ったりしていた。
オカメインコのぼくの視点、あのころのミューやミッキーやミニーや文鳥たちもそんなふうに見えていただろうか。
あったかくて、ふかふかして、やわらかいなにかの記憶。呼ばれる名前。鳥かごから見る景色。
小さなツヤツヤの頭を、指先でそっと撫でていた、こどものころの鳥たちとの記憶を、短く愛しい記憶を呼び起こす1冊でした。
どうやらこの物語には、前日譚があるよう。また読んでみよう。