なぜ言葉は必要なのか?
【私が読書を通して言葉を知った方がいいと思う理由】
考えることが出来るようになる
『文字禍』という中島敦氏の作品で書かれているように、文字というものを知ることにより、人間は考えることができるというところである。
人は物事を考える時には、頭の中で考えるが、道具として言葉で考える。
どんな抽象的なものも、名前をつけることによって実体が現れると言うが、名前をつけることによって存在しなかったものが存在している『モノ』となる。
そのモノについて語るとき、やはり自分の感情というものも言葉によって、表現することが多い。
「嬉しい」「悲しい」「楽しい」
などである。
しかし自分が言葉を知らないと、いつまでたっても小学生と変わらない感情表現しかできない人間になってしまう。
かしこぶりたいわけではないが、やはり人間としての深みを感じないのは、言うまでもない。
【日本人の情緒】
日本人は昔から情緒というものを大切にしてきた。
情緒とは、日本人が持つ美的感受性を表しているものだ。
西暦500年から1500年までに、日本一国で書かれた文学作品は、同じ時代に全ヨーロッパで書かれた書物を、質と量の双方で圧倒している。
7世紀末に成立した万葉集には、字の書けない人が詠んだ歌さえも「詠み人知らず」として残されている。
ここに書かれているように、日本人の感受性が優れているというところは、日本人として誇りに思っても良い部分である。
しかしそれが最近になり、Z 世代によるタイパ※1 など時短というものに、情報の収集方法が取って代わられていることに、私は危機感を感じるのが二つ目の理由である。
動画や映画などは、倍速で見る
ファスト映画※2 などを使い、時間をできる限り短縮し、体験ではなく、手っ取り早く結果を手にしたいと言う、最近の若者の忙しさを物語っている。
本当にそれほど、売れっ子芸能人のような忙しさを毎日身にまとって生きているのか、甚だ疑問ではあるが、最近の若者は最短距離で結果を残そうという、手っ取り早く結果を残すことだけを考えており、内容が分かればいいと言った見方を映画などの趣味や娯楽の世界にも求めている点が、私は懸念材料に感じている。
本を読むことにより、自分の頭で考えるという素晴らしさを、若い人にも味わっていただけると、日本の未来も明るくなるような気がしてならない。
読書と体験で賢さを養っていこう!
と、声を大にして言いたい。
※1.タイパとは……ビジネスでの重要性や改善方法を解説 タイムパフォーマンスとは、投資した時間に対する効果を示す言葉で、最近では「タイパ」と略して使われることもあります。 タイムパフォーマンスを意識して改善することで、仕事の生産性を上げ、プライベートを充実させることが可能です。
※2.ファスト映画(ファストえいが)とは……映画の映像を無断で使用し、字幕やナレーションをつけて10分程度にまとめてストーリーを明かす違法動画である。 著作権を侵害する違法行為であり、日本では懲役刑および罰金刑を科す判決、並びに著作権者からの損害賠償請求も行われている。)