年末年始で読んだ『ゲド戦記』の基本情報のまとめ
ゲド戦記物語全体をまとめてみました
ゲド戦記には「真の名」がある
実写のゲド戦記とは2004年にアメリカで放映されたTVシリーズ「ゲド〜戦いのはじまり〜」が一番最初の原作以外の作品になります。
この作品は原作の1、2巻をベースにした作品ですが相当大胆な改変がされていました。
原作者であるアーシュラ・K・ル=グウィンはこのシリーズに不満だったことから2003年に行われた第75回アカデミー賞で「ゲド戦記」の影響がうかがえる『千と千尋の神隠し』で、長編アニメ映画賞を獲得するなど世界的な名声を得た宮崎駿監督によって、アニメーション映画としての映像化を希望したと思われます。
つまり、ジブリ作品になったのは、原作者自らが望んだ形だったのです。
しかし結果はル=グウィンにとって残念な形となり、希望した宮崎駿には監督してもらず、息子の宮崎吾郎が手掛けることになってしまいます。
そして何より、上TVシリーズを上回る原作の大幅な改変をされてしまいます。
ゲド戦記には真の名というものがあります。
この、真の名を相手に知られると、魔法をかけられるというデメリットをはらんでいるため、いわゆる「偽りの名」というものを持つ必要があるのです。
この基礎知識がないと、ゲド戦記は楽しめません。
この真の名の変更が、実写版には見られました。
原作では真(まこと)の名がゲドで通り名がハイタカですが、実写版ではゲドの真の名がハイタカになっています。この変更点だけでも、大きく物語が変化してしまうとお分かりになるでしょう。
ジブリのアニメーション映画では、原作の通りゲドが真の名でした。
しかしこれには、理由があったようです。
TVシリーズでは原作の1巻と2巻のクライマックスをシリーズのクライマックスに一本化する変更が施されていました。
ゲドが解き放った魔物の真の名が、ゲドの真の名と同じハイタカであったことで、魔物がゲドの闇の部分であったと視聴者に分かりやすくする狙いがあったのだと思います。
これは勝手な推測になりますが、登場人物が二つの名前を持っていてそれを視聴者に常に意識させるのは、読書に比べて困難だという判断もあって、より視聴者に印象が深いであろう「ゲド」を主人公が他の登場人物に呼ばれるなど作品中で登場頻度の高い通り名にして、要所要所にしか出てこない真の名を「ハイタカ」にしたのかもしれません。
「分かり易さ」と「視聴者へのアピール度」というTVというメディアの要請だったのかもですね。
以下はデータ的な補足として添付します。
通り名/真の名
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%B2%E3%83%89%E6%88%A6%E8%A8%98
ハイタカ(Sparrowhawk)/ゲド(Ged)
「影との戦い」における主人公。アースシー北方に位置するゴント島(Gont)の出身で、類い希な魔法の才能を持つ。
若い頃はその才能から傲慢な性格で、結果として「影」を呼び寄せてしまう(影との戦い)。
アルハ(Arha)/テナー(Tenar)
「こわれた腕輪」における主人公。東方に位置するカルガド帝国(Kargad Lands)のアチュアンの墓所に仕える巫女。
墓所の事と自分に仕える女官と宦官しか知らない狭い世界で生きてきたが、ハイタカとの出会いによって外の世界に興味を持つ。
アレン(Arren)/レバンネン(Lebannen)
「さいはての島へ」における主人公。エンラッド国(Enlad)の王子で、世界の異変に対処するためにハイタカとともに最果ての地へと旅立つ。
テルー(Therru)/テハヌー(Tehanu)
「帰還」「アースシーの風」におけるキーパーソン。
両親の虐待によって顔の左半分がケロイドになっており、うまく話すこともできない。テナーによって育てられる。
ゲド戦記(アーシュラ・K・ル=グウィンによる原作/wiki)
真の名
“まことのな”と読む。アースシーにおいて、すべてのものを支配できるもの。砂の一粒、水の一滴まで真の名を持っており、真の名を知っていればそれを操ることができる。魔法使いには真の名を探り出す術をもっているものもおり、ゲドは生まれつき真の名を探り出す術に長けている。人間の場合、成人の儀式の際に、儀式に立ち会う魔法使いやまじない師の口を借りて知らされる。通常は一生変わることはないが、強い力を持つ魔法使いであれば、(無理やり)新しくつけかえて相手を生まれ変わらせることもできる。また、自分の真の名を相手に知られると、その相手に対して完全に無防備になる。そのため一般に、よほど信頼できる相手でない限り、真の名を他人に明かすことはない。
魔法
魔法使いの類によってかけられる。魔法をかけるにはまず相手(または物)の真の名を知らなければならない。その上で神聖文字を唱える。すると相手を操り、更にはそのものの本質を変える事さえ出来る。しかし本質を変える事は宇宙の規律を一時的にせよ操作する事でもあり、濫用は厳しく戒められている。神聖文字とは、太古の昔、セゴイが海中から島々を持ち上げアースシーの世界を創った時に使われた「真のことば」であり、ひいては竜のことばでもある。
ゲド〜戦いのはじまり〜(ウィキペディア)
『ゲド〜戦いのはじまり〜』(ゲド たたかいのはじまり、原題:EARTHSEA)は、2004年12月13日にアメリカ合衆国のSci-Fiチャンネルより放送されたテレビ映画。
TVシリーズを紹介したブログ
http://kappa1973.blog.fc2.com/blog-entry-59.html