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鎌倉で暮らして病気が少し和らいだ気がする。東京と鎌倉の違い。 【靴の底 #20】

鎌倉で暮らしはじめて驚いたのが、孤独感を感じないことかもしれない。
東京で暮らしていたときは、騒がしい集団や足早に通り過ぎる人たちの中で、どことなく孤独を感じて、こんなに人間がたくさんいるのに私はなんでたった一人なんだろう・・・と思うことが多々あった。

鎌倉の街を歩いているとよく会話が生まれる。
この街独特の赤いポストの前で、このポストに郵便物を入れていいのだろうか?と悩んでいると「そこのポストね。何時に郵便屋さんが取りに来てくれるよ〜」と見知らぬおじさんが教えてくれたり、花屋やカフェに入ると「どこから来たの〜?」と笑顔で迎え入れてくれたりもする。

引っ越し早々にご近所付き合いもはじめた。
隣に住むおじいさんは犬と二人暮らしで、散歩時間に会うとたくさん犬を撫でさせてくれる。
この前は四国の祖母から送られてきた小夏をお裾分けした。

東京で病気になり、家に引きこもっていた頃と少し変わり、外に出ては人と交流するようになった。

「爆発がなくなったような気がするな」
周期的に来る、鬱の症状で泣きわめいたりすることがあったが、家から出て人と交流をし、海を見に行く生活をしはじめてから無くなったと旦那が言う。

適度な人の多さと、適度な距離での人との交流が今まで抱いていた孤独感や虚しさを感じさせなくなるのかもしれない。

それと、街全体に圧迫感がないのも良い。東京の高い塀で囲まれた家々は、人を寄せ付けない雰囲気ではあるが、この街の家はほとんど塀がなく、庭仕事を楽しむ人が多いのを感じる。
週一回、選定した木々のゴミ回収があるぐらいだから、緑や自然が生活に根付いている。

ただ、鬱々とする日はたしかにあって、そんな時は寺社仏閣に参拝しに行く。絶対に叶えたい願い事はないけれども、家族や旦那の健康やこの幸せが続くことを祈る。
その後は、海に行く。ただただ、ぼーっと海を眺めて、気が済むまで眺めて、だんだん飽きてきて家に帰る。

ただただ、のんびり、ゆったり時間を過ごしている。
この前居酒屋で何の仕事をしているのかを聞かれたので、「ニートして、旦那に食わせてもらってる」というと「最高の生き方じゃないっすか!!!!!」と言われた。
恥ずかしいと思っていた生き方が、どことなく優しい言葉になった。

平日の昼間、海に行くとサーファーたちが波に乗っている。

「あの人達はなんの仕事をしているの?」
逗子に住む友人に聞くと「真面目な話。仕事の合間に波に乗りに行ってる。だから、あの人達、今仕事中」と返ってきた。

最高の生き方じゃないか。


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