葉子

旦那と保護猫と海辺の町で暮らしいるWebディレクター。不器用な夫婦生活。保護猫の預かりボランティア。束の間の日々の暮らしをエッセイにしてます。

葉子

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マガジン

  • 靴の底

    2024年の日記。鎌倉移住や留学生たちの交流。夫婦の何気ない日常の日々を日記にしたためています。

  • 派遣社員として生きている。

  • 博物館で働いた話

    パンダが居る公園にあるとある博物館で出会った人たちの話をまとめています。

最近の記事

夫婦はひとつになれない【靴の底 #34】

鎌倉の湿気地獄もおわり、いつの間にか肌寒い日が続くようになった。 真夏を乗り越えたんだと思うとなんだか結婚式のことや夫婦の間の亀裂も気にならなくなってきた。 派遣の仕事をはじめて初給料をもらったとき、あまりの高額明細に目が丸くなり、「え?一年ぶりのお賃金がこんな高くなっていいんですか?」と何度も疑ってしまう。 過去の正社員や契約社員よりも高いお賃金は、私の仕事のモチベーション高くし、仕事に打ち込むほど、日々が忙しくなる。 旦那も年に一度の繁忙期に慌ただしく働き、夫婦で在宅

    • 赤田家の夢見る女たち 【靴の底 #33】

      色づいた銀杏の木が二本並んでいる間に赤い鳥居が美しい立ち姿で構えている。 どこの神社なのだろう。 北鎌倉にある神社なのかもしれない。鳥居のそばに家族の姿があり、その楽しそうな様子を私は眺めていた。 ここに行かなきゃないけない。けど、どこだろう。北鎌倉に同じような場所があるのかもしれない。 銀杏な葉がハラハラと落ちていく。なんてきれいな光景だろう・・・。 アラームの音が部屋に響き渡り、二匹目の預かり猫が「ナー」っと鳴いて朝ご飯の催促をしにくる。 また、夢を見てしまった。時々、

      • 恋人は依存して、夫婦で自立する 【靴の底 #32】

        「もう疲れた・・・。同じことの繰り返しで、しんどい・・・」 冷めた目で見下ろしてくる旦那を涙で滲んだ目で見上げる。 「もう、だったら、やめるの・・・?今までだって楽しいこともあったじゃん・・・。私たちもうやめるの・・・?」 「もう半分は考えてるよ・・・」 結婚式で入った亀裂をそれからも修復できずいる私たちはお互いの気持のぶつけ合いに疲れてしまった。 私たちは、同じ考えをして、同じ感じ方ができる・・・。心の何処かで思う気持ちはすれ違い、最悪な形を作り出そうとしていた。 その

        • 結婚式で夫婦の間に亀裂が入った 【靴の底 #31】

          泣き叫んで、泣き疲れて眠りにつく日が続いていた。 結婚式後、私たち夫婦に流れる空気は変わってしまった。 「結婚式なんてしなければよかった!!あんたたち家族のせいでこんな苦しい思いをしたんだ!!」 私は義理家族からされた結婚式の仕打ちを何度も思い出し、旦那に「私の気持ちをわかってほしい」「私の気持ちをどうして理解できないのか?」と詰めより、旦那は私の迫力に疲れ切り、逃げ回る。 もうイタチごっこの毎日だ。 そもそも結婚式の準備から義理家族のワガママと要望は強く、末っ子長男の

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        • 靴の底
          33本
        • 派遣社員として生きている。
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        記事

          お腹にできた子、ポリープちゃん【靴の底 #30】

          預かっている保護猫が発情期に入った。 悲痛な鳴き声は1日中つづき、誰かを求める叫びは可哀想になるほどだ。 すぐに保護猫のオーナーに連絡をし、避妊手術の予約をいれてもらったが子猫ラッシュのせいか手術まで少し間が空いてしまった。 毎晩鳴く保護猫に付き添ってソファに横になると不思議と彼女は大人しくなり、何度も触られるためにお腹に乗ってきては思う存分甘えてきた。 この子も抗うことができない体の変化や本能に苦しんでいるんだと、無職の私は覚悟を決めて数日間彼女に寄り添った。 音声が消え

          お腹にできた子、ポリープちゃん【靴の底 #30】

          双極性障害でも働いていいでしょ? 【靴の底 #29】

          「やっぱ自立って大切やと思うねん」 ええー!そうなこと言っても私、双極性障害なんだよ!? 口に出せない言葉が頭に浮かび、ぐっと言葉を飲み込んだ。 ここ数年で時代は変わった。 ほんの10年前まで精神疾患は口に出しはいけないタブーのようなもので、どことなしに恥ずかしさがある病名だった。 それが最近では「わたし、うつ病なんだ」「双極性障害です!」と発言でき、それをサポートする動きまであるのだから世の中は変わるものだ。 ただ10数年前の私は自分が双極性障害であることを隠し、ごく一

          双極性障害でも働いていいでしょ? 【靴の底 #29】

          人間欲してるときは手に入らないのに、何も考えてない時には舞い込んでくるものだ【靴の底 #28】

          「結婚式どうでした〜?」 湘南に住みだしてから通い出した近所の美容院に入店したとたん、美容師のユキさんが笑顔で迎えてくれた。 湘南の人の特徴はとてもフレンドリーな人柄なところだろう。 「もう二度としたくないです・・・」 思ってもみなかった私の回答にユキさんは戸惑った顔をした。 「ええ!?ぶじ、なにごともなく、おわったんですよね?」 「台風の影響もなかったので、ぶじっちゃ、ぶじですけど・・・疲れました・・・」 この半年の結婚式準備を振り返り、げんなりする私を席に座らせて「今日は

          人間欲してるときは手に入らないのに、何も考えてない時には舞い込んでくるものだ【靴の底 #28】

          姉たちの喧嘩に巻き込まれている結婚式の話 【靴の底 #27】

          結婚式が迫ってくる。 鎌倉への引っ越し、保護猫の預かりボランティア、妊活、そして結婚式。 鎌倉に引っ越してきてから目まぐるしく過ごしていたが、とうとう結婚式の準備に本腰をいれる時が来てしまった。 そもそも鎌倉という土地に興味を抱いたのも結婚式を挙げる目的だったりして、今年の私達のビッグイベントだ。 だが、義理家族の要望ですることになった式だけあって、私達の腰はピクリとも動かない。 毎月あるプランナーさんとの打ち合わせのために、準備を進めるが険悪な雰囲気が漂っている。 ま

          姉たちの喧嘩に巻き込まれている結婚式の話 【靴の底 #27】

          生理の日、鍵しっぽの猫へのお願い 【靴の底 #26】

          控えめな保護猫が私の足をカリカリと何度か撫でる。 お腹が空いたのだろう。眠気に負けて布団に潜り込んでいると旦那が先に布団から抜け出した。 薄目を開けると甘えた声をだして旦那の足に絡みつく保護猫が見える。 「飯がほしいんかぁ〜?」と猫を抱きかかえ、私の隣に降ろすとこれまた甘えた声で顔をスリスリと寄せ付ける。 私のことをご飯担当と理解しているこの子は1ヶ月間、私たちに近づくことはなく、ヴーとシャーを連発していたが、時を重ねていつの間にか甘えん坊の猫ちゃんに変貌してしまった。

          生理の日、鍵しっぽの猫へのお願い 【靴の底 #26】

          鶴岡八幡宮で大凶を引いて女友達との友情を育んだ日 【靴の底 #25】

          女友達との悪口大会ってどうしてこんなに楽しいんだろう。 一年以上ぶりに友人に会うことになり、私はわくわくしていた。 友人のアイちゃんは前の職場の同僚で、お互い長く付き合う彼氏との結婚の悩みや愚痴をランチタイムどころか、仕事中も吐き出しまくった戦友だ。 そんな私たちもランチタイムのネタになっていた彼氏と結婚し、アイちゃんは一児の母にもなった。 私が鎌倉に引っ越したことや無職ライフをしていて平日が暇だということから、一年以上ぶりに鎌倉で遊ぶことになったのだ。 「もうさ!私、

          鶴岡八幡宮で大凶を引いて女友達との友情を育んだ日 【靴の底 #25】

          骨になりたてのお母さん 【靴の底 #24】

          「おかん、骨になりたてやん」 喪服姿の人が骨壺と遺影を持ち、昼食をとりに店の前で集まっている光景をみて隣りにいる旦那が言った。 なんてことを言うんだ、と怒ると「鎌倉は骨になりたての人をよく見る」と返してきた。 確かに鎌倉という街は寺社仏閣があちらこちらにあるため、喪服姿の団体を見ることが多い。 黒い服に身を包んだ人が持つ骨壺はもちろん人の形はしていないけれども、どことなく人の気配がしており、大切に抱かれている姿は赤ん坊のようだ。 最近、鎌倉は紫陽花の季節と海の季節になった

          骨になりたてのお母さん 【靴の底 #24】

          保護猫から学ぶ心を開くことのむずかしさ 【靴の底 #23】

          毎晩布団に入る前にブラインドを上げて夜中窓から外を眺められるようにすることが日課になった。 預かりボランティアをはじめてからの私の役目だ。 昼間は隠れ家に隠れて出てこず、夜皆が寝静まるとソロリソロリと出てきてこの窓から外を眺める。寝返りをうつと急いで隠れ家に隠れる。また出てくるの繰り返し。 人間は悪い、怖い、オレを傷つける。 保護猫からは私たちに対しての敵意と恐れを感じ、この家につれてきて可哀想なことをしてしまったのではないかと罪の意識を感じる日々だ。 その姿はむしろ、

          保護猫から学ぶ心を開くことのむずかしさ 【靴の底 #23】

          仕事を辞めてから何もかも変わってしまった 【靴の底 #22】

          昨年の今頃、仕事の繁忙期がようやく過ぎ去り、あーこれで早朝3時起きから抜け出せるのか〜とか最終の満員電車に揺られて思ったりしていた。 閑散期に入ったらゆっくりしようとか思っていたら、社長が大変な案件を取ってきちゃって、そんなん絶対ムリ!繁忙期後に、これはキツイ仕事だって!と思いながらも、NOと言えない私はどんどん仕事を引き受けて、早朝から深夜までの仕事に追われながら、真夏の40度近いグラウンドでの撮影中に熱中症になって緊急搬送。 家で3日間自宅待機になったけど、出社の日に

          仕事を辞めてから何もかも変わってしまった 【靴の底 #22】

          「誰かもらってください」と言われるとウチの子にしたくなる 【靴の底 #21】

          すこぶるご機嫌斜めの私を江ノ電に乗せて、旦那は極楽寺駅まで連れてきた。 今朝から私はなぜかモヤモヤ、イライラしていて、旦那に当たり散らしていた。 はじめての江ノ電にご機嫌も良くなってきて、後ろを振り向くと相変わらず何を考えているかわからない顔の彼と目があった。 仕事をしながら大学の講義も受けているらしい彼は今週の授業の予習をしている。 私は1日中家にいるのに、彼は外の世界があると思うと何故かモヤモヤしてしまい、視線を外して移り変わる窓の外を眺めた。 私は旦那に嫉妬をしている

          「誰かもらってください」と言われるとウチの子にしたくなる 【靴の底 #21】

          鎌倉で暮らして病気が少し和らいだ気がする。東京と鎌倉の違い。 【靴の底 #20】

          鎌倉で暮らしはじめて驚いたのが、孤独感を感じないことかもしれない。 東京で暮らしていたときは、騒がしい集団や足早に通り過ぎる人たちの中で、どことなく孤独を感じて、こんなに人間がたくさんいるのに私はなんでたった一人なんだろう・・・と思うことが多々あった。 鎌倉の街を歩いているとよく会話が生まれる。 この街独特の赤いポストの前で、このポストに郵便物を入れていいのだろうか?と悩んでいると「そこのポストね。何時に郵便屋さんが取りに来てくれるよ〜」と見知らぬおじさんが教えてくれたり、

          鎌倉で暮らして病気が少し和らいだ気がする。東京と鎌倉の違い。 【靴の底 #20】

          わたしが鎌倉へ惹かれた理由 【靴の底 #19】

          鎌倉への引越し早々に私は四国の祖母の家に訪れていた。 家にはまだ片付いていない段ボールと冷蔵庫だって未だに購入していなかったが、GWということもあり半年ぶりに90歳の祖母に会いに来た。 四国と言っても祖母の家は空港から汽車に乗って3時間の長旅で、海から山に流れ込む風が心地よい土地だ。 この日はちょうど雨が降っていて、道中の汽車にはずぶ濡れのお遍路さんたちがたくさん乗り込んでくる。 3時間の長旅を終えて、迎えに来た叔母の車に乗り込み、藍色の海沿いを走っていると雨の中をひたすら

          わたしが鎌倉へ惹かれた理由 【靴の底 #19】