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カバディの試合を観戦したことで解像度が上がった灼熱カバディの描写について

先日、全日本カバディ選手権を拝見しました。

スポーツ観戦を生でするというのは人生初の経験でしたが、想像以上にめちゃくちゃ面白くて、本当に見て良かったと思いました。

実際の人間がプレイしている様子を目の前で見るというのは何にも代えがたい体験で、カバディというスポーツへの解像度をグッと上げてくれた感覚があります。


そんなこんなで熱が上がっている今、私がどうしてもやっておきたいことがあります。


灼熱カバディについて語りたい。




灼熱カバディとは、裏サンデー/マンガワンで連載していたスポーツ漫画です。
2024年7月に完結、本日12月19日にコミックス最終巻が発売します。

もうすげー面白くてですね。
もうすっげえーーー面白くてですね。

作劇も上手だしキャラクターの魅力も凄いし。
コマ割りと言うんでしょうか、漫画の見せ方が上手くてストレスなく読めたし、最初から最後までずっと熱かった。

要はこの作品が大好きなんですよ。

だから、いつか何かの形で灼熱カバディに関する記事を書き、自分が感じた事を残しておきたいと思っていたんです。
どうにかして良い感じの内容に出来ないかな……と完結してからのここ数カ月ずっと考えていたのですが、ようやく思いつきました。

生でカバディを観戦した経験を踏まえて、灼熱カバディの試合描写について私が気が付いたこと、思ったことが書きたい!

それこそが、今この瞬間だからこそ書くことが出来る、新鮮な感想かも!

そう思い立ち、こうして筆を執っている次第です。


内容としては基本的にネタバレ注意なので、全話既読の方向けとなります。

まだ灼熱カバディを読んだことが無い方は、是非コミックスや裏サンデーやマンガワンでご覧ください。まじで面白くて31巻分とか一瞬で読み終わっちゃうから。

既読の皆様は、もしよければお手元にコミックスを用意するか、裏サンデーかマンガワンを開いてご覧ください。
適宜参照のため話数、巻数とページを記載します。
(あとちょくちょくRPGで例えている)


行くぞ!







怪我はめっちゃ普通にする

カバディじゃよくあるよ。

58話(7巻68ページ)

作中でも怪我のリスクが大きいスポーツであることは度々言及されていましたし、怪我をしているシーンは沢山ありましたよね。
序盤から畦道も宵越も頭切っていたし、鼻血出している水澄や井浦も顔面からいって鼻血出してたし。

部長は登場前から怪我で入院していたな……。
余談ですけどあの人畦道には「ちゃんと治療してくること」って注意していたのに自分が怪我した時は「カバディじゃよくあるよ」とか言っててそりゃ井浦にも鬼の形相で怒られるわ、って思いましたね。

私が見た試合でも、頭に怪我をし、担架で運ばれていた選手がいました。

確かにそのくらい激しい動きが多いスポーツでした。
そりゃ宵越パパも息子のこと心配するよ。

と思ったんですけど、なんか話を聞くにカバディ選手の身内の方々、怪我して帰ってくることに徐々に慣れてくると噂で聞きました。
実際、観戦していた時に近くに座っていらした、怪我をした選手のご家族らしい方が「まあ目開けてるし大丈夫でしょ」と言っていたのを私は聞きました。ご家族も覚悟決まっているのか……。

どなたも元気にスポーツしていてください。




人見祐希のキャッチはマジで「良ーいキャッチ」だった

百戦錬磨の守備が狙うのは、攻撃手の脚。

124話(13巻119ページ)

できた!! 練習通り!!!

231話(24巻127ページ)

試合でアンティ側の動きを見て、一番最初に思ったことがこれでした。

当然ながら他のキャラでも膝以下をキャッチする守備は沢山いましたが、明確に「良いキャッチ」と外園に言われていた人見の守備、実際とても印象に残っているのでこうして記載しております。

カバディ、とにかく押し倒されて動けなくされると一気に帰陣が難しくなるスポーツだなと思ったので、守備側の最初の一人がまずキャッチに行くべき場所は確かに膝下なんだろうな、と見ていて感じました。

その際、最初に思い出したのが231話での人見のキャッチです。
その直後に若菜が手を手で引き剥がしていましたが、このような動きも実際の試合中に何度も見ました。




守備の強いチーム、なかなか全滅しないし脅威

俺たちが1度も倒せなかった奏和の高谷 煉を倒したのは、
英峰という『群れ』だ。

31話(4巻133ページ)

守備側の活躍で強烈に印象に残っていることがあります。
それは、何度もスーパータックル(※)を成功させていた様子。

(※守備側が3人以下の時に守備を成功させると、2点獲得することが出来るルール)

試合中、意識せずに勝手に目が行きやすいのは攻撃手なのですが(攻撃は1人でしか行わない為観戦に慣れていなくても目で追いやすい)、守備側のプレイが凄くても強烈に印象に残りました。
特に、どんなに選手が追い出されても、最後の3人が一生守備成功させ続けるからなかなか全滅させてくれないチーム。

見ながら段々と、このチームの守備を完全に崩す方法って何なんだ? という疑問でいっぱいになりました。
7人いれば囲い込んでくるし人数が減っても引き倒してくるチーム、目の前にしたらとても怖いと思います。

選手達が守備を成功させるたびに、私の頭は英峰や大山律心でいっぱいになりました。
普通に怖えよ、それにカッコいいよ。連携が上手い守備も、引き倒す能力が高い守備も。




リーチの長い人は手を伸ばして得点できる、小柄な人は肉体を鍛えることができる

こんなガタイの奴がやるスポーツなのか!?

1話(1巻21ページ)

このスポーツには体重制限(2024年時点で男子85 kg、女子75kg)があるので、身長高めの選手は比較的細身、身長低めの選手は厚みがあるとパッと見で分かるほど、選手ごとに体型が違う印象が強く残っています。

至極当たり前の表現をしますが、身長が高い人というのは大きく見えます。
マジで当たり前だな。

対し身長低めの選手ですが、こちらが小さく見えるかと言われると全くそんなことは無く。
高身長の方よりも筋肉を鍛えることが出来るからでしょう、ガタイが良いと一目で分かる方が沢山いらっしゃいました。

どの選手も決して小さくは見えませんでした。
全員が大きく見えた。
体重制限というルールがあるスポーツでパッと思いつくものが柔道やボクシング等、体重別階級が存在するスポーツだったので、身長差による肉体の違いが明確に分かる競技に触れたのはほぼ初だった気がします。

調べてみたら、上限体重だけではなく下限体重が存在する競技も存在したので、スポーツにはスポーツの数だけルールがあるという当然のことを私が意識できていない部分もあるかもしれません。世の中奥深い。

それにしたって身長2 m超えている神畑さんが6.5 mのコート内で動き回っていたらどう考えても脅威だということは良く分かった。
神畑さん高身長な上に体の使い方まで上手だしそりゃ世界組だよな。
85 kgの体重でコート内駆けまわる神畑さんも見たかった。




有利不利が変わりやすい

会場のムードとは違い、能京選手たちに油断は無い。
かつて9点差を一瞬で覆された経験からである。

84話(9巻153ページ)

ここでやられたら負ける。
4点リード?
そんなもの吹けば飛ぶ。

282話(30巻28ページ)

カバディは想像以上にテンポ速く試合が進み、たった数十秒、たった1ターンの間で点差が入れ変わることもザラにあるスポーツでした。

実際に見ていて、どちらが勝つのか本当に分からない、手に汗握るシーンが度々ありました。
カバディ初観戦の感想記事でも書きましたけど、観測した全試合「これ決勝戦かな?」と思いながら見ていましたもん。

灼カバは試合の魅せ方が上手で飽きの来ない作品だと読んでいた時にずっと感じていましたが、それと同時に「リアルでも起きうる状況」を描いていると理解できました。
能京vs伯麗の序盤とか奏和vs紅葉とか、まさに展開・点数の入れ替わりの激しさを教えてくれる試合でしたね。

にしたって、流石に9点差を一瞬で埋めた佐倉はあまりにも化け物(褒め言葉)だけど。

「1点差で勝つ」「点差が覆る」みたいな拮抗したシーンが多かった試合を観戦していたモブキャラたちも、私みたいなこと思っていた人多かったんじゃないでしょうか。
全然点差が開かなかった能京vs大山律心とかどちらを応援していても心臓破れそうになると思うし、能京vs星海みたいな試合見ちゃったら最早脳味噌焼き千切れると思う。


序盤から宵越FCやってた能京サッカー部羨まし!!




完璧なオールラウンダー不破仁、本当に完璧

すごい…
あの人…
カバディってすごい…

286話(30巻113、114ページ)

全日本カバディ選手権大会のプログラムには選手のポジション(レイダー、ディフェンダー、オールラウンダーの3種)が記載してあり、各チームに何が得意な選手が何人所属しているのかが分かるのですが、私が想像していたよりもオールラウンダーの方が多い印象でした。

攻撃か守備、どちらかを得意にしていても相手にとっては脅威になるだろうし、どちらも一定以上の水準で出来るというのもまた、その場その場をアドリブ的に対応できるという驚異があるんだろうなーと素人ながら想像していましたが、自分の中でスポーツについて整理し、時間が経つにつれて「どっちもめちゃくちゃ出来る」の恐ろしさがじわじわとリアル味を帯びてきています。

要はRPGだと主人公スペックなんですよね。
「パーティ構成に合わせて自分がやるべき事を変更できる上にそれが十二分に頼りになる」って。

不破が志場という攻撃手の加入を受け、筋肉のつけ方を守備寄りに変えたことを思い出しながら思いました。

どんなスポーツでも、様々なポジションで一定以上のプレーが可能だというのは凄い能力だというのはぼんやり分かっていたのですが、生で試合をみた後だとやはり実感が違いますね。
本当に「ぼんやり」としか分かっていなかったのですが、今では「いやそりゃ不破仁はとんでもない選手だよ」って強い実感を持って感じます。

加えて周りをちゃんと見ているしカバディを楽しんでいるし使命もあるし、カッコいいな不破。だから世界組も一緒に歩むし星海メンバーもついてきてくれるんだよ。

そりゃ、モブの少年も不破のプレーを見て「カバディってすごい…」ってなりますよ。
なってるんだからな。屍ばかりじゃないんだよ。楽しんでいいんだからな!!

改めて、全員が超優秀なオールラウンダーみたいなもんである星海に勝った能京すげぇよ。だって星海が凄いんだもん。能京すげぇよ。

そんな不破と似たレベルの選手と言われている佐倉の凄さも同時に浮き彫りになりました。3年生時の佐倉のプレーが見てみたいな。




宵越竜哉の急バック、実際にやられたら絶対ヤバい

『走りの技術』だけでも脅威だと…早めに知れて良かった。

39話(5巻89ページ)

無ぇ。
倒せるルートが。

275話(29巻49ページ)

もうこれはコートのサイズ感を目の前にした時点で分かることです。
ブレーキなしでコート内を走り抜けるんだから、そりゃ強いです。

なんならカットもヤバい。
ていうか何でも凄い勢いで吸収するし、対スポーツに関してはとんでもないレベルで勘も鋭いから最終的な引き出しの多さがヤバい。
それを持前の運動神経で操ってくるもんだからヤバい。
冷静さもあるし、意地もあるからヤバい。

何がどこまで出来るのか毎秒未知数だから末恐ろしい。
星海戦の最後の攻撃とか、もう何をどんだけやっているのか分かるけど分からなかった(伝わって欲しい感情)もん。
vs大山律心の頃は「特殊な軌道ゆえに大量得点は難しい」とか言われていたのに、星海相手にする頃にはもうコレだもんな。

要は隙を見つけることが大変難しいわけだから、どうすれば止めることが出来るのか、咄嗟の判断をしかねる相手なんだろうなと。

……と同時に、相手にして楽しい選手でもありそうだなと思います。
RPGの敵って初見攻略が難しいくらい強い方が面白いし。


そりゃね、高谷も「あー! 楽しかった!!」って言うよね。
メンタルまで相手として最高なんだもん。

身体能力も精神力も努力の才も全部ひっくるめて天性のスポーツマンで、最高の主人公だよ。




王城正人、バケモン

僕が一番強いから。

269話(28巻100ページ)

大量得点というのはそう簡単なことではないと思うのですが、1回のレイドで3点4点獲得する場面は実際存在します。
が、じっくり対峙して隙を見つけるとか、四肢を駆使して粘るとか、掴まれながらもパワーや身長を利用して帰陣するとか、そういった方法で得点することが多いわけです。
少なくとも私が観測した試合ではそうだったと思います。
特に手以上に足を使う選手は多かった印象です。

要は手によるタッチで5点とか普通に取っていく部長はマジのバケモン(※大いなる褒め言葉)だということが良く分かりました。

しかも筋力に物を言わせることが出来ないから、相手に捕まらないこと前提の攻撃を得意とする攻撃手ですよあの人。

いや、あんな、相手が視線すら向けられないレベルのスピード感でパパパッと複数人にタッチ(しかも手で)した挙句ボーナスラインまで越えられたら怖すぎなんだわ。
そりゃ闇も出る。
愛も還る。

宵越だって憧れる。

私も、王城が一番強いと思う。
個人の技術も、率いたチームも、彼自身が語る愛も、彼を構築する全部をひっくるめて、最後までその気高さに揺るぎが無い、誇り高い選手でした。


因みにですが、現実にもいそうな王道のレイダーは伴辺りなんじゃないかなとか考えていました。2年生3年生になった時の1年生組の試合も見たいよなぁ。






《番外編》試合内容とは直接関係無いけれど


宵越パパが言っていたことは現時点で的を射ている

日本では認知度が低く、スポンサーがつきにくい。
日本代表でも、一般企業に勤めながら活動する選手が大半。

238話(25巻79ページ)

実際これらはまだまだ事実なのでしょう。
私が見に行った大会でも、初出場のチームが数多くありました。

でも、要するにそれって「初出場のチームが数多く存在する程今年は活動する人が増えた」ってことでもあるのかな、と感じています。

何度も言いますが、私はカバディどころかスポーツ観戦自体の素人で、各スポーツの具体的なプレイ人口やファンの人数を知っているわけではありません。何となくの印象しかありません。緒方の逆です。
だから偉そうなことは何も言えないのですが、個人的な希望として、これからももっと人が増えてもっと名が知れたスポーツになってくれたらとても嬉しいな、と思っています。



これだけは言わせてくれ

畦道について。
八代さんも言っていましたが、彼は本質的に明朗快活でいて異常に勘が良い。
万人との人付き合いの方法がナチュラルに分かっているし、天然で好かれるキャラクターをしていますよね。
それでいて夢中になれることには大きな熱意を持って取り組める。
性格がプレーにも反映されている。そして、チームの力になれる。
人間に対して本気の感情をぶつけることが出来る。

そりゃ畦道には彼女いるに決まってるよ。
聞いてるか宵越


……って言いましたけど、きっと畦道のこういうところは宵越と対比的に練られた設定なのでしょう。

違うからこそ、でも一緒のコートにいたからこそ、最高の相棒なんだね。
きっとこれからも。






ありがとうございました

以上、カバディの試合を観戦したことで解像度が上がった灼熱カバディの描写についての記事でした。

改めまして、最終巻発売本当におめでとうございます。
とても面白いスポーツ漫画に出会えたこと、間違いなく人生の財産のひとつです。

これからも、ささやかながら応援しております。






後書きです。

今回の趣旨とは異なるので書きませんでしたが、漫画を読み返しながら様々な感情溢れてしゃーなかったです。

宵越と共に語りたいキャラクター沢山いるし。
畦道に王城、高谷、志場あたりなんかは特に。

王城に関しては親子共々感想いっぱい出てくるし。

全部熱かった各試合についてもまだまだ熱量高く語れるし。

この記事書きながらなんやかんやで全巻読み直しちゃったし。


結局要するに最終的に言いたいことは、高谷同様「楽しかった!」なんですよね。

余韻まで楽しい漫画だったな。本当に出会えて良かったです。
かつてオススメしてくれた先輩マジでありがとう。
そして試し読みすらせずにフィーリングでコミックス大人買いした数年前の私にもありがとう。

私もこれからも隙あらば色々な人にオススメし続けます。


それと、カバディの試合を見てから再び灼熱カバディを読んだことにより、スポーツ漫画をより一層楽しむ為には、スポーツのルールを知っておいた方が良いということを覚えました。
ルールがふわっとした状態でも作中で説明してくれたり、作家さんの漫画を描く力で楽しむことは十分に可能ですが、ルールを把握していると解像度が高くなった感覚があって、新しい発見が出来たりして。
要はとっても楽しくなります。

この感覚、カードゲームアニメでも味わいました。
ゲームのルールを知ってから見たカードゲームアニメ、更に面白く感じた。

知識って趣味を楽しむ役にも立つんだな、ということを学びました。

幼い頃の自分に言ってやりたいです。
とりあえず何でも学んでおくもんだぞって。



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