マーケが顧客理解のための顧客満足度調査をやってみた【SaaSビジネス経験談 #2】
シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!❐」に関わる様々な職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。 今回は、弊社マーケティング部門が実施した「顧客満足度調査」について、担当マーケターがそのノウハウをご紹介します。
こんにちは。シナジーマーケティングでマーケティング部門のマネージャーをしている下川です。突然ですが、あなたの会社では顧客満足度調査をどの部門で実施していますか?
顧客接点のあるカスタマーサポートやカスタマーサクセス部門が主幹で実施するケースが多いのではと思います。今回はマーケティング部門が実施する顧客満足度調査についてのお話です。
顧客理解のための顧客満足度調査を行うと、自社プロダクト・サービスに対する満足度のみならず、自社の顧客像が明確になって、マーケティングコミュニケーション施策に活かすことができるのでは?
そんな考えから、私が所属するマーケティング部門で顧客満足度調査をやってみました。
今回は、特に顧客理解のために必要な調査設計面にフォーカスして、実際の事例に触れながらその方法とポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。
1.なぜマーケティング部門が顧客満足度調査をすることになったのか
理由はとてもシンプルです。
顧客理解を深め、それに基づくマーケティング施策を展開したかったからです。
何年か前までは長年、全社として顧客満足度調査を実施していたのですが、「当時」と「いま」では顧客像や用途などが違っているはずです。
・われわれのプロダクト・サービスを使っているお客様は誰?
・いったい何を期待して導入してくれたのか?
・今もお客様の期待通りの価値を生み出せているのか?
皆さんはこれらの問いに対して明確に答えられますか?
弊社ではなんとなく、個々人でこんな感じかなという顧客像のイメージを持っていたものの、事実に基づく顧客像の可視化と共通認識化が課題でした。
また、これまで弊社では年に1度、カスタマーサポート部門によるサポート面に特化した顧客満足度調査を実施していました。
既存のお客様の実態と弊社サポートサービスへの評価を定点観測し、サービス改善につなげ顧客体験の向上を図ることが目的です。
当初はすでにあるサポートに関する顧客満足度調査に、新たに設問を追加し相乗りする形も検討しました。
しかし対象者と目的が異なるため、時期をずらして別々で調査を行うほうが良いと判断し、マーケ部門として単独で顧客満足度調査を実施することになったのです。
2.顧客満足度調査で明らかにしたいことって何?アウトプットとセットで考える
顧客を深く理解するためにはデータ分析も大事ですが、何を明らかにしたいのかという「目的」と「仮説」を意識した調査準備が何よりも重要です。
仮説が構築できるほどデータがそろっているかどうか次第で、リサーチは「仮説探索」と「仮説検証」に大きくタイプがわかれます。
顧客満足度調査での「仮説探索」タイプとは、顧客像が特定されていないため、誰がどのような理由で満足度が高いのか気づきを得たうえで仮説を構築するときによく選ばれます。
そして定性データで得られた考察が、本当に顧客の思考とマッチしているのか定量データで検証・把握するのが「仮説検証」タイプです。
弊社では仮説が構築できるほど情報が十分ではなかったことから、
インタビュー調査による「仮説探索」を行い、その後にWebアンケートで「仮説検証」を行いました。
次に、調査後の仮説検証フェーズで重要になるのがデータ分析です。
どのような分析を行い、どうアウトプットにまとめるのか、調査を実施する前に決めておくことが仮説検証の精度向上にもつながります。
一般的な顧客満足度調査での代表的な分析手法は以下の2つです。
・相関分析
全体の満足度と個別の満足度の関係性と影響度を明らかにして、全体の満足度に影響を与えている個別の機能・サービスの取り組みに優先順位をつける
・CSポートフォリオ分析
個別の各機能・サービスの重要度と満足度の関係性を明らかにして、改善点を抽出する
ここでは詳細説明を省略しますが、興味がある方は検索してみてください。
一方、顧客理解のための顧客満足度調査にはどのような分析手法があるのでしょうか。
確立された手法は特に存在しなかったため、いろいろと悩んだ末に今回は「N1分析」で有名なマーケターの方が提唱した分析フレーム「9セグマップ」を参考に弊社独自の視点・解釈を加えて分析しアウトプットしました。
(出典:【顧客起点マーケティング】9セグマップの概要と活用方法)
今回は既存のお客様を対象にするにするため、不要なセグメントを削除し4セグメントにしました。
また、このフレームワークでは「次回購買意向(ブランド選考)」軸による積極層・消極層の分類と、「購買頻度」軸によるロイヤル層・一般層の分類が、自社プロダクト・サービスにそのまま適用できるか検討する必要があります。
弊社の場合、BtoB向けプロダクト・サービスなので「次回購買意向(ブランド選考)」は「総合満足度」「課題解決の貢献度」、「購買頻度」は「契約アカウント数」「利用期間」などいくつかの指標に軸を置き換えてクロス分析を行い、結果をプロットしました。
3.調査設計で押さえておきたい3つのポイント
顧客理解を目的とした調査設計は、一般的な満足度調査との違いを認識したうえで回答対象者や設問を設定する必要があります。
・ポイント1:回答対象者を見極めよう
顧客理解を深めたい対象と満足度を把握したい対象が異なる場合、注意が必要です。
対象者の特定と抽出条件を事前に確認するのはもちろんですが、条件設定の制限が厳しくなると目標とする回収数が集まらない可能性もあります。
仮説を立てる目的で行うインタビュー調査では数人でも気づきが得られるケースが多い一方で、仮説検証を行うアンケート調査は、回答誤差を極力少なくするためにも多めに回収できるように設計しましょう。
弊社の場合だと、システム導入の意思決定に関与した人と、導入後実際に利用する人が異なるケースがあるので導入関与度合いが把握できる質問を設けて条件制限を行いつつも一定の回答数が確保できるように設計しました。
・ポイント2:設問・選択肢のワーディングに工夫を
一般的な顧客満足度調査で利用するよくある設問「~について満足度を5段階でお答えください。」でもいいのですが、満足度調査だからといって型にはめず、目的や明らかにしたいことを念頭に再度ワーディングを検討することが大切です。
弊社では、システム導入で解決したかった課題を確認し、それが導入後ちゃんと解決されたかどうか、またシステム導入がお客様のミッション達成に貢献しているかどうかを把握する目的に合わせて、設問や選択肢のワーディングを工夫しました。
・ポイント3:データを組み合わせて顧客を深く知る
アンケートの回答結果に社内の顧客データを組み合わせると、顧客理解の解像度をあげることができます。
自社で保有している購買データやサポート履歴(弊社ではカスタマーサクセスサービスの提供有無)などから立てた仮説をもとに必要なデータを事前に準備しておくと分析がスムーズに進みます。
また、組み合わせ可能な社内データを事前に確認しておくと、設問設計の段階で極力不要な設問を排除できるので回答者負担の軽減にもつながるのでおすすめです。
4.やってみてわかったこと
顧客理解を目的にした顧客満足度調査は初の試みでしたが、実施して収穫が多かったと感じています。
例えば、CRMシステム導入自体が初めてのお客様と他社システムからリプレイスしてくれたお客様では回答結果に差があることが判明し、ターゲティングの優先順位づけの参考となるデータが取得できました。
また「9セグマップ」の分析活用は、軸の設定と基準値(回答結果をスコア化し数値データに置き換える)の妥当性を判断することへの難しさがあり、設定次第で積極層・消極層の分類に影響を与えることも気づきになりました。
今後は、アンケート調査で取得したデータを、社内で一元管理している顧客分析用データにインポートすることでデータ分析の精度を高め、より深い顧客理解につなげるつもりです。
また改めて再認識したのは、市場もお客様も刻一刻と変化していますから一度の調査で終わりにしない、ということです。
お客様の一部の声しか拾えていない可能性を考え、調査項目を都度検討することで仮説・検証を繰り返しながら、定点観測によるデータと知見を蓄積していくことが重要ではないかと思います。
5.さいごに
いかがでしたでしょうか。
これからアンケートで顧客理解を始めたい方、すでに顧客満足度調査を実施していて顧客視点で見直そうと考えている方のお役に立てたら幸いです!
もし、もっと詳細情報が欲しいという方には、弊社で作成した「まずは顧客理解から始めよう!」シリーズのお役立ち資料が無料で提供可能なのでよろしければ以下をご確認ください。
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