新紙幣発行の裏に潜む「タンス預金」のあぶり出し
はじめに
こんにちは。SYNCA合同会計事務所 税理士の細見です。
約20年ぶりに新紙幣が発行されました。この新紙幣発行には、偽造防止という明確な目的がある一方で、もう一つの隠れた目的が存在します。
それは「タンス預金のあぶり出し」です。
本記事では、新紙幣発行の背景に潜むこの狙いについて掘り下げ、さらにタンス預金の現状や未来について考察していきます。
◆この記事を読んでほしい人
◆この記事を読んでわかること
新紙幣発行の目的
約20年ぶりに新紙幣が発行されました。その主な目的は偽造防止ですが、隠れた目的として「タンス預金のあぶり出し」があると指摘されています。
タンス預金のあぶり出しのメカニズム
日本国内でのタンス預金の総額は約60兆円にも上ると推定されており、その巨額の現金が経済に与える影響は無視できません。
1968年の3億円事件を例にとると、当時の現金は現在の貨幣価値で約30億円に相当します。もし犯人がその現金をタンスに隠し続けていたとすると、現在では70代半ばのはずです。
その現金を今使おうとすると、すべて聖徳太子の一万円札であり、金融機関に持ち込めばマークされるでしょう。これが現金でのマネーロンダリングの大きなボトルネックです。
タンス預金と相続税
次に、福沢諭吉の一万円札がタンスに眠っているケースを考えてみましょう。
相続税の最高税率は55%ですから、税金を逃れるために現金をタンスに隠す人もいます。
税務署は預金通帳をしっかりと調査します。
これに対して、裏金はタンス預金に適しています。現金商売をしている人々も税務署からは現金を隠しやすいと見られています。
インフレと金利上昇によるタンス預金のリスク
インフレ基調と金利上昇により、タンス預金は経済合理的ではなくなりつつあります。
過去30年間はデフレとゼロ金利の時代であり、タンス預金の現金の価値が上がっていました。
しかし、最近のインフレと金利上昇により現金の価値が下がり始めました。これにより、タンス預金は時代遅れになりつつあります。
海外移住やタワマン節税の事例
もし本当に相続税対策をしたいなら、タンス預金は推奨されません。
プライベートバンカーなどの富裕層専門の金融サービスが、より効率的な節税手法を提供しています。
例えば、シンガポールへの移住やタワマン節税などが過去に利用されてきました。
しかし、国税局も対策を講じており、これらの手法も使えなくなりつつあります。
新紙幣は「最後のお札」
新紙幣発行は今回で最後になるかもしれません。
キャッシュレス化とデジタル円の発行が進めば、全ての経済取引がトレース可能となり、マネーロンダリングや裏金がなくなるからです。
将来的には、デジタル通貨の導入により、税金が適正に払われる時代が来るかもしれません。
その時代には、新紙幣発行でタンス預金をあぶり出すことは不要となるでしょう。
新紙幣の発行は、タンス預金の時代の終わりを告げるものです。
もし読者の中にタンス預金をしている方がいるなら、今がその現金を適切に処理する時かもしれません。
終わりに
新紙幣発行は、タンス預金の時代の終わりを告げるものであり、今後の経済動向や税制対策に対する大きな示唆を含んでいます。
タンス預金はもはや時代にそぐわない方法となり、適切な資産管理が求められる時代が到来しています。
SYNCA合同会計事務所では、上記のようなお悩みや税に関する相談、個人の確定申告などの支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。