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輝ける闇

 開高健を初めて読んだが、匂いや臭いが立ち込めるような、ねっとりとした描写のおかげ(せい)もあって、ゆっくり読み進めることになった。少しだけ中毒性のある感じ。物語は実体験を基に書かれたもので、すべてが物語を進める描写ではないようにも感じたが、当時のベトナムの様子が知れて興味深い。戦争の話なので終始暗い物語ではあるものの、性病?を恐れてパンツ一丁になり、庭先に出て日光浴をする様や、それに至る経緯など、実は割とコメディな部分もあったやに見受ける。終盤、ただ人が死ぬだけの、大義を損なった戦争と認識しながら、なぜ最後にゲリラ戦の前線に向かったのか。これもどうやら開高さんの実話のようで、その辺の心情変化が気になったが、ねっとりした文体の中で、その理由を拾うことはできなかった。多分再読すればわかると思う。

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