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納豆菌の種類と会社の姿勢から見る各メーカーの納豆比較(国産のみ)

腸活界隈で注目が高まっている発酵食品。
中でも日本人に昔から馴染みがあり、しかも毎日の食卓に取り入れやすい納豆は、腸活筆頭選手だ。

筆者はあまり動物性のタンパク質を積極的に摂らないので、納豆や豆腐などの大豆製品にはお世話になることが多い。

納豆食べ比べの記事は他にもいろいろあるので、今回は会社のこだわりと、わかる範囲で菌の種類を紹介しながら比較してみたい。すべて国産大豆納豆で試している。

筆者の好みの関係で、すべてタレ・からしはなしで納豆のままいただいている。


あづま食品/国産中粒納豆

まずはあづま食品の納豆から。

栃木県に本社のあるあづま食品は、茨城で生産されている納豆用の大豆品種の半分ほどを仕入れて納豆作りに活かしているそう。
茨城県には、あの納豆最大手「おかめ納豆」のタカノフーズの本社があるにもかかわらずこの仕入率から、あづま食品は国産大豆に力を入れていると考えられる。

初めていただきましたが、国産中粒納豆に持っていた「豆が硬い」という概念がくつがえされた。

豆はやわらかめで、匂いも少なめ。それでいて旨味があった。
賞味期限が7/9のやつを7/10に食べたので、余計に柔らかかったのかもしれない。(納豆って、一ヶ月くらい期限切れてても全然食べれる)

あづま食品からは、2011年に「新規納豆菌及びこれを用いて製造した納豆」という名称の特許が出ている。
バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)AZ-5512菌株(FERM
P-22135)という菌株を使うと、「納豆特有のネバネバ、ヌルヌルした粘質物が少なく、更に納豆特有の納豆臭も少ない納豆を得ることができた。」とのこと。

この製品にこの菌株が使われているかはわかりませんが、稲藁から納豆菌を日々採取する企業努力が伺える。業界シェア3位。

豆紀/国産中粒納豆

続いて、和歌山県に本社を持つ豆紀
業界シェアは高くないものの、私の住む関西ではわりとよく見かけるメーカーである。

実は和歌山県民は大の納豆嫌いで有名だそうで、そんなところに本社と工場があるこの会社の苦労を勝手に思ってみたり。

食べた感じは、よくある国産中粒納豆のイメージで、しっかりした歯ごたえと納豆らしい旨味。
賞味期限が切れたあとに食べると柔らかくなっていたから、納豆という食品は好みの硬さになるまで冷蔵庫に入れておくのが正解なのかもしれない。

納豆菌の種類はわからなかったが、あづま食品と同様、安心して食べられる納豆。

CO・OP/北海道の小粒納豆

続いては、コープさんの小粒納豆。
国産大豆の納豆で小粒って、あまり見かけなくないですか?

実はこの背景には、国内で作られる大豆の品種は大粒か中粒が主流という事実があるらしい。

この納豆は先ほど紹介した豆紀による製造で、大豆は北海道で契約栽培をしているそうで、品種へのこだわりや減農薬もウリ。

個人的に小粒の納豆のほうが好きなので、これが一番おいしくいただけた。

小杉食品/大粒 福豊納豆

続いては三重県の小杉食品から、福豊納豆(大粒)。
小規模なメーカーながら、業界トップクラスの30種類という品揃えで、納豆への想いが溢れている。

お値段は全然お手頃ではなかったけれど、
地元三重県の国産大豆にこだわっているところや、水にもこだわりがあるなど、納豆への気合いは一番感じられた。旨味も強かった。

この商品ではないけれど、血糖値の上昇を抑える効果のあるDC-15菌という納豆菌をもとにつくられた「DC-15菌納豆」という商品や、納豆アイスなるものまであり、商品企画のチームが輝いているのが伺える。

納豆メーカーに就職するとしたら、ここがいい。

ただ、やっぱり毎日食べられる値段ではないのと、大粒すぎるのがちょいと残念。また、結婚記念日とかそういう特別な日に食べる納豆として買いたいと思います。

ミツカン/金のつぶ 国産小粒納豆

業界二番手のミツカン
ミツカンはもともとお酢の超老舗会社だったものの、納豆への参入は1997年と遅め。

普通にやっていたのでは、すでに市場を席巻していたタカノフーズ(おかめ納豆)には敵わないと考え、徹底的に差別化戦略を採ることに。

「におわなっとう」でも有名な匂いが少ない納豆の開発や、当時の市場では主流ではなかった柔らかい納豆、強みであるお酢をタレに使うなど、
うまくニッチを探りながらシェアを伸ばしていった。

匂わない納豆菌の開発については、研究員の方による論文が出ている。
この納豆に使われているのは、分類学上の納豆菌であるBacillus subtilisから、匂いのもととなる物質(bcfa)を作るロイシン脱水素酵素を欠損させた株を分離した株ということだ。

割引シールがうまく剥がせなくて申し訳なかった。

しかもこの納豆、家に納豆の在庫があるのに買ってしまったゆえ、食べたのは賞味期限が1週間ほど過ぎたころだった。

なので、味については正当な評価ができないと考え、控えることにする。
金のつぶシリーズや、なっとういちが好きな人には、いいかもしれない。
ちなみに私は、輸入大豆納豆なら「なっとういち」が一番好き。

ミツカンの差別化戦略については以下の記事を参考にさせていただいた。

タカノフーズ/国産丸大豆納豆

私の住んでいる兵庫県で国産大豆の納豆を買おうとすると、高確率でこの子に出会う。

1932年創業の、泣く子も黙る納豆メーカー最大手、タカノフーズのおかめ納豆。
国産大豆の納豆に切り替える前は、輸入大豆を使った「極小粒」にはよくお世話になっていた。

大手だけあって、商品開発にも力が入っている。

まずは納豆菌について。
2008年に登録された特許では、
「バチラス・ズブチルス(Bacillus subtilis)に属する納豆菌であっ て、蒸煮大豆のセルロース分解能を有し、該納豆菌が、バチラス・ズブチルスTTCC9 40(Bacillus subtilis TTCC940、受託番号P-21324 )であること、を特徴とする納豆菌」
という菌株が記載されている。

しっかりとした中粒の納豆は、おなじみの味で安心感があった。夫はあづま食品や豆紀の納豆がよかったみたいだけれど、私は毎日の食卓に載るならこっちがいいかもしれない。

けれど、なにごとも一強になるのはよくないので、なるべく中堅メーカーのやつを買おうと思う。

ところでタカノフーズの納豆には、原材料に「米粉」と表記されているのを知っていますか?
これ、タカノフーズの特許なんです。

米粉を加えることで、日持ちが格段に良くなって、品質も向上したとのこと。
こういう企業努力、大好き。

というわけで、そろそろ筆者の自宅周辺で手に入りやすい国産大豆納豆のネタが尽きてきたので、このあたりで。


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