「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」 3月20日 日記
人類はSFを読む人間と読まない人間の2つに分けることが出来る。分けることにあんまり意味は無い。
最近積んでいる本が10冊を超えていることに気付いて読書強化集中進化向上週間に突入したので今日も読んだ本の感想を。
今日は小川一水さんの『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』を読みました。自分では上手に内容を要約できる自信がないので以下裏表紙参照。ちなみに表紙は望月けいさんが書いてます。
”人類が宇宙へ広がってから6000年。辺境に巨大ガス惑星では、都市型宇宙船に住む周回者たちが、大気を泳ぐ昏魚を捕まえて暮らしていた。男女の夫婦者が漁をすると定められた社会で振られてばかりだった漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで強力な礎柱船に乗り込む。体格も性格も正反対の二人は、誰も予想しなかった漁獲をあげることに”
ちなみに周回者と書いてサークスと読みますし、昏魚でベッシュ、礎柱船でピラーボートと読みます。最高かよ。
こんな感じで最初から独自の単語バリバリで「お、SFが始まったぞ」と少し構えるのですが、案外出てくる用語自体は少なくて冒頭で慣れてしまえばすらっと読めました。
しっかりと明言はされてないものの、要約にもあるように女の子2人を中心とした物語です。先日読んだ『彼女。』に引き続きまたもや百合が中心。『彼女。』は短編だったので「もう少しこの百合を読みたい!」みたいなゲージが溜まってたのでかなり満足しました。百合は良いぞ。
しかして今作を百合がメインテーマと言うのは少し違うかもしれなくて、あくまでSFで、テラとダイオードはお互いを女性だから一緒にいるのではなく、互いがやりたいことをやる為には互いの存在が必要不可欠と言う文字通りで運命共同体なので結果的に百合なだけという感じました。勿論主人公たちが女子二人である意味は終盤にちゃんと回収されるしテラの男が苦手な要素なども含めて百合である必要はあったんだと思います。
内容ですが、最初に年表から始まります。最高。
また最初はどのシーンがいつの時系列のシーンなのかしっかり読んでないと少しぼんやりとしましたが、昏魚の立ち位置とかから時系列が分かるようになっていて助かりました。
冒頭のそうだったらいいなが実際にそうだったことが終盤に分かって、実は百合2重構造なのが分かったり、世界設定に関して「ちょっと都合いいな」と思ってた点にしっかりと答えが準備されていて本当に良かった。SF読む上で個人的に一番気になるその世界に至る整合性みたいな部分がしっかりしていて、読んでいて気持ちが良かったです。
あらゆる資源になる『魚』を取る漁師という設定とか氏族の設定とか、2年に一度の各氏族が集まったりとか、未知の星の自然災害とか、船や網の設定が非常に自分好みでした。他の作品の名前を出すのは気が引けますが、漫画の『空挺ドラゴン』を彷彿させました。どっちも大好き。
SFにしては軽く読めて、百合で、面白い。最高にお得な気分でした。
おい、続きあるのかよ。本当にありがとう。
明日は『第八の探偵』か『ポー名作集』を読みます。それではまた。
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