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『スタンフォードが中高生に教えていること』 ①

 今回紹介するのは,『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)です。著者は,スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長の星友啓さんです。教育関係者はぜひ読むべきです。何回かに分けて,感想を述べたいと思います。

その教え方が子供をダメにするー恐ろしい8つの常識

 これは序章のタイトルです。誤った常識として次の8つが挙げられています。

常識1:「成果や能力をほめる」
→逆に向上心が下がってしまう 
常識2:「手取り足取り丁寧に教える」
→学ぶが浅くなり,探究心が削がれる 
常識3:「評判の教材や勉強法で学ばせる」
→才能もやる気も潰してしまいがち 
常識4:「得意な学習スタイルで学ばせる」
→脳科学に反する行為で記憶が定着しにくい 
常識5:「ストレスをさける」
→人間のDNAに逆らって余計ストレスの悪影響が出る 
常識6:「テストで理解度や能力を測る」
→最高の学びのチャンスを逃してしまう 
常識7:「同じ問題を反復練習させる」
→スピードが上がっても思考力は下がる 
常識8:「勉強は静かに1人でやらせる」
→脳の「半分」は休止状態のまま 

 筆者は,上記の常識(太字の部分)には落とし穴があるので,注意しなければいけない点や工夫を加えるべき点があると述べています。

 私が特に印象に残ったのは,常識4です。ときどき「自分にあった勉強法でやっている」などと言い,アドバイスを受け入れない学生がいます。それでは,いざ自分の勉強法で壁にぶつかったときなどに対処できなくなります。試行錯誤しながら,状況に合わせた勉強法を選択できることが自分の才能を最大限に伸ばせるということです。逆に,教師側にもいえることでしょう。学生の学習法を受け入れながら,アドバイスをすることが大切だといえます。

 私が普段言っていることが裏付けられて安心したと思えたのが,常識6です。学生は勉強の目的は「テスト」で良い点をとることと考えがちですが,テストは,次の学びへとつながるものです。テストを目的化してはいけないということを再認識するものでした。

 常識7は,わかってはいながらも,なかなか難しい問題です。筆者は数学の計算問題を例に出していました。本書では思考力をつける計算練習の仕方の一例を示しています。どの教科でも,基本を使いこなせるようになるためには「反復練習」が必要になる場面があります。「反復練習」以外の手段を考えるのか,また反復練習に工夫を凝らすのか,試行錯誤が必要だと感じます。


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