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2024.12.1文学フリマ何出すん?

5月に出したばかりの「コンサータ・デ・ラ・ソウル・アミーゴ」の宣伝をします。(遅い)
今回またおくすりの名前をもじったタイトルで、表紙はプールです。水系の作品が多い青春系短編集になっています。

以下、内容紹介です。

1.ハーデンベルギア(初出:2021年11月文学フリマにて頒布したコピ本)
介護ロボットと、それを利用する寝たきりのおじさんの悲しいお話。吉藤オリィさんのorihimeという分身ロボットが働いているカフェに行って、ロボットの可能性をめっちゃ感じてワクワクした勢いで書かれたもの。

2.みずべのいきものだから(書き下ろし)
夏休み、することもないのでプールの開放日に泳ぎに行くと、小さな機械で文章を打ち込んでいる同級生の女の子の姿があった、という話。
ドライブ中はキリンジを流す、と決まっていた時期があって。キリンジの曲を雑に色々聴いてるうち、いちばん気持ちよかったのが「14時過ぎのカゲロウ」でした。あの曲をもとに、珍しく実在の人物やエピソードを盛り込まずに頭の中のイメージだけで書いたもの。ポメラはプールで使わない方がいいと思います。

3.ならいごと(初出:2021年5月「紅潔サナトリウム」)
習い事が続かないがちな体の弱い少年が、友人の勧めで謎の道場に入会し、とんでもない体験をする話。
風合文吾さんとの共著の書き下ろしで、力技で書いた作品。プールに対するにおいのトラウマは私自身の記憶からきています。今はプール大好きです。

4.海辺で生まれた子(初出:オートカクテル「不条理」)
イルカと性交した女子高生が妊娠した。生まれた娘は下半身が魚で、差別と不自由な生活を強いられていたが、あるとき恋に落ちる、という話。
人魚モチーフはとても好きです。多分また書く。

5.花売りのむすめ(初出:ラブホテルアンソロジー「満室になる前に」)
ある街の立ちんぼの少女には変な噂があった、というお話。
私は実家にいる時から、一人暮らしを始めてしばらく経つまでいつも見えるところに母の遺影を飾っていました。おぼろげなのでわからないけども、うちにきた誰かに「お母さんに見られてる感じがする」と言われたような記憶があり、そんな思い出をベースに書きました。

6.傷の、きらめき(初出:崩れる本棚)
鬱で休職中に喫茶店で出会った少年と、きらきらしたものを交換する話。
「ベタな話」として崩れる本棚に寄稿したものです。当初は鬱真っ只中で集中もできないし小説を書くのがたいへんで、自分の頭の中の浅い部分を掬ってしか書けていないこの作品がなんか嫌でした。振り返って読むと、わりとじょうずに鬱を言語化してるなあなんて思います。たぶんもらったものだと思うけども、モデルになった栞があります。キラキラしてて素敵です。光りはしないけど石もうちにあります。キラキラしてて素敵です。

7.ヴィレ・コレクテ(初出:崩れる本棚)
病気の姉の世話をさせられるヤングケアラーを初めて描いてみました。
椎名林檎「正しい街」モチーフで書きたくてできた作品です。全然関係なくなったけど。野口さんはセクシーで狡くて好きです。

8.一五,三〇(初出:崩れる本棚)
15歳の女の子が、母の友人の30歳の男性に惹かれていく。グロテスクな話です。
お母さんごめんなさい。悪口を書きました。
ちなみに、この作品での母はうちの母とおなじく、日中は呼吸器オフでも普通に呼吸して会話できます。体は寝てるけど心はめっちゃ元気で口が達者です。

9.さいごのゆにこーん(初出:ライブハウス特典コピー本「ひかりのゆにこ」)
最後の一頭になったユニコーンが、「大好き」ってどういうことかをちゃんとわかろうとするお話。
ピーター・S・ビーグル「最後のユニコーン」が好きです。ゆにこーんゆにおんというバンドのメンバーだった時にみんなでライブのたびに冊子を作ってくばってました。青春でした。スタジオいっぱい入って、得意も苦手もあって忙しかったけど。

10.うまれてこのかた、うたをうたったことがない(初出:同じく「ひかりのゆにこ 2」)
架空の世界の架空の生き物向けの架空の授業で、「うた」に関して学ぶってお話です。
うたってなんなのか。この作品では矛盾すら恐れず完全にぼやかされています。この冊子をつくって持って行ったライブで、うたについて歌っていた女性シンガーがいてすごく良かった。通じ合ったかもしれないと思いました。

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あとは、長らく再販できてなかった「ア・リスペリドン・イン・ワンダーランド」という短編集(こちらは精神科ワンダーランド的な作品が多かったかと思います)と、代表作「グランジナースの死」も持っていきます。

「生成りの無垢」としてはサークルの同志、Pさんの書いた「頭の中の穀類」が今回の新刊です。生活の中でふと見かけたかたっぽの手袋や反射した虹みたいなものを写真に収めるような繊細で美しい作品集となっています。

文学フリマの告知があちこちあるので情報量多すぎィ…ってなると思いますが、きっと私のことを探し当ててくれるって信じてます。求めよさらば与えられん。

明日、12月1日に、東京ビッグサイトの西で「し-53 生成りの無垢」にてお待ちしております。

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