龍をおもう 朗読公演「庭」によせて
10/22の詩
「龍をおもう」
真っ暗闇の中でひとりで風を浴びていると口をついて「龍をおもえ」の詩が浮かんでくる、一言一句正確ではないが、一部が思ったより頭の中のあらゆるところに散らばって隠れていて、何回かもごもごと振っているうちにぽろんぽろんと意外なところから次の言葉が出てくる、わたしとともにある、
みっつめ、よっつめの足跡があとからあとから、思い出したみたいに一番欲しかったことばを鳴らして砂にあとをつけていく、
適応するために、生きていくために私が捨てなければならなかったこの粒々が夜に飛ばすと龍の形になって月よりもっと光っている、かがやいている、それはきっとかれが捨てずにいてくれていたから今ここできらきらと光をはなっているんだ、何かの反射じゃなくて、みずからが燃えて、きらきらと光をはなっているんだ、
捨てないでいてくれてありがとう、
あなたのこころにずっとわたしたちの粒々を、過去になんどか消えるはずだったたくさんの粒々を、龍を、捨てないでいてくれて、ずっと大事に持っていてくれて、磨いていてくれて、ありがとう。死ななくて済んだ日がまた一つ、青い光の下できちんと電車の通過を立ち止まって待っている、踏切の警告音が、きゅうに生活の方におりてきて、正しい音で聴覚を刺激する、「今だ、飛び込め、」ではなく、ただカンカンと声ではない音を鳴らしているにすぎないことがわかる、
這い出てくることができた者だけが!
紙とペンに!もしくはマイクに!
向かうことができるのだ
それはぼくだってきみだってそうだ
這い出ることのできた者だけが今ここで、泣いたり傷ついたり詩を書いたりすることができるんだ
だから僕らは何度だってできたんだ
ちいさなピンク色のくちばしで、
何度だって割ってきたんだ
硬かったろう、痛かったろう、
一人ぼっちで真っ暗でさびしかったろう、
でもいま、ちぎれそうなほど張り詰めたヴェールのなかで、必死に息をしようともがくきみのつめが、ぼくのつめが、勝ちだ。いのちだ。龍なのだ。
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近未来、「大災害」のあとの、人と人との繋がりがばらばらになってしまった世界。老人は子供のことがわからない。子供は老人のことがわからない。居場所をなくし、僅かな食糧を求めてうろつく子供=「ノラ」たちが探しているのは、たべるものだけではないみたいだ。わたし「アリス」も、何かを探してひとりきりで旅をしている。また朝がやってくる。大人になると少しは平気になっていくあらゆるかなしみは、暗い夜の中で明け方を待ち侘びるようでいて同時にこわくてたまらない、あのヒリヒリしたかなしみは、「龍」の影が受け止めてくれている。「龍」をおもうたまごたちの目線は見たこともない空へ見たこともない速さで駆け上がっていく。
日疋士郎さんの「発作」という詩がとてもすきだ。
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朗読公演「庭」、いよいよ土日に本番が迫ってまいりました。
ぷろじぇくと☆ぷらねっと
詩人と役者の朗読劇「庭」
作・演出:日疋士郎
日時
10/26(土) 13時(🌹)19時(🌿)
10/27(日) 13時 (🌿)18時(🌹)
ダブルキャスト🌹=ローズチーム、🌿=ミントチーム ※ダブルキャストなので、そにっくなーすは土曜昼と日曜夜の「ローズ🌹」の公演に出ます。
会場:高田馬場JETROBOT
前売 3500円+1ドリンク(600円)
当日 4000円+1ドリンク(600円)
特典付きのスペシャルチケットあり(5000円〜)
満席だったのですが増席ができそうで、まだまだチケット間に合います。
カルテットオンライン
[そにっくなーす扱い 予約フォーム]https://www.quartet-online.net/ticket/gq0faxp?m=01ajeeh
(一般フォーム https://www.quartet-online.net/ticket/gq0faxp)
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