おみくじは釣るもの?
夏休みが始まった。
ウサギとカメは図書館を後にして、浅草駅に降り立った。雷門に辿り着くと、大勢の人が二人の目に飛び込んできた。
浅草寺へと続く仲見世通りは、買い物を楽しむ人々で賑わっていた。日本らしい雑貨が並ぶ店先を眺めていたウサギは、ふと小さな違和感に気づいた。
「周りから聞こえてくるのは、何語かしら。いろんな言葉が混ざり合っていて、まるで外国にいるみたいね」と、ウサギはカメに話しかけた。「浴衣を着ている外国の女の子もたくさんいるわ」
「浅草寺は外国人にとても人気がある場所だからね。彼らの目には、ここが特に日本らしく映るのだろうね」とカメは言いながら、はぐれないように彼女の手をそっと握った。
二人は人混みを離れ、自販機を探し始めた。「ビッグウェーブや赤富士って、やっぱり外国人向けなのかしら」と、ウサギは自販機を見つめながら呟いた。
「たぶんね」とカメは答え、ペットボトルを取り出して彼女に手渡した。
再び歩き始めると、「夏詣」の提灯の向こうに、浅草神社の鳥居が目に入ってきた。
鳥居をくぐった瞬間、ウサギが声を弾ませた。「見て!るろうに剣心祭だって!」
「浅草神社で初めてのアニメとのコラボなんだね。意外と面白い組み合わせかも」と、カメは穏やかに微笑んだ。
「さて、おみくじを引くわよ!」
ウサギは意気込んで、おみくじ売り場に向かって駆け出した。売り場に辿り着くと、彼女は言葉を失い、首をかしげた。
「えっ、ちょっと待って!この鯛みくじって、ここにある釣竿で釣るの?」彼女は驚いた表情でカメの方を振り向いた。
カメはそんな彼女の様子を見て、「そうみたいだね」と、優しく笑った。