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音と光と絵画の物語
涼しい図書館の閲覧席で、ウサギは一人、じっと画集を眺めていた。ページをめくるたびに、彼女は絵の中に吸い込まれていくような感覚を楽しんでいた。
彼女の隣に、カメが静かに腰を下ろした。「モネの『睡蓮』を見ているんだね」彼は画集をちらりと見て、温かく微笑んだ。「ちょうど今、モネの『睡蓮』が見られる展示会があるんだ。一緒に行ってみない?」カメは優しくウサギを誘った。
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日本橋三井ホールに足を踏み入れると、さまざまな形状のスクリーンが360度、二人を包み込んだ。その空間は、美術館というより、どこかイベントホールのような雰囲気を漂わせていた。
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「額縁に入った絵が見えないけど、ここって本当に美術館なの?」と、ウサギは周りを見渡しながら、カメの袖をわずかに引いた。
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「ここでは、絵画をもとにした映像が観られるんだよ。ほら、もう始まる」カメは彼女の手を優しく引いて、スクリーンの前にそっと座らせた。
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荘厳なクラシック音楽が流れる中、スクリーンの中で絵画が静かに動き始めた。絵の一部がふっと浮かび上がったかと思うと、次の瞬間にはまるで生命を宿したかのように、柔らかく揺れ、舞い踊っていた。
ほのかに漂う香りが、絵の魅力をそっと際立たせる。ウサギはスクリーンに視線を向けたまま、「すごい…」と思わずつぶやいた。
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画家たちの心の叫びが心を捉えていく。
ルノワール曰く「芸術とは感じるものだ。説明をしなければならないのなら、それはもはや芸術ではない」
ピサロ曰く「あらゆるものは美しい。肝心なのは、その美しさを伝える能力である」
ロートレック曰く「私は真実を描こうとしたのであって、理想を描いたのではない」
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「絵画って、こんなふうに感じることもできるのね。衝撃的だったわ」クラシックの音色に包まれながら、モネの「睡蓮」は、ウサギの視線を優しく引き寄せ続けていた。