睡眠時間のすれ違い
澄んだ空気が気持ち良い冬の日にもかかわらず、カメは重い瞼でぼんやりと周りを見渡した。彼の目の前には、生き生きとした瞳を輝かせたウサギがいた。「あらカメくん、今日は何だかとても眠そうね」と、彼女は首をかしげながら、カメの顔を覗き込んだ。
「とっても眠いよ。本に夢中になっていて、気付けば夜が明けていたんだ」と、カメは小さなあくびした。その声には読書の喜びと、時間を忘れた後悔が混ざっていた。そんな彼にウサギは、「私は早寝したから、日の出とともに走ったわ。もう、朝ごはんも昼ごはんも食べ終えたわ」と胸を張った。
ウサギの言葉を聞いて、カメの心には健やかな生活への憧れが浮かんできた。「ウサギさんは健康だね。僕もそうなれたらな」と彼は思った。そして彼は、今夜こそは早く眠ることを心に誓った。うーんと、伸びをすると「やっと目が覚めてきた。さぁ、図書館に行こうよ」と、カメは静かに歩き出した。
ウサギとカメは図書館に入ると、書架に並んだ本からそれぞれ一冊を手に取り、並んで閲覧席に座った。カメが最初のページをめくろうとした時、彼の耳に小さな寝息が聞こえてきた。 横を見ると、ウサギが穏やかな眠りについていた。
カメは読んでいた本に栞を挟むと、そっと彼女の小さな肩にコートを掛けた。そして、幸せそうな寝顔を優しく見守った。
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