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小さな世界の大きな出来事
その日、ウサギとカメは街の喧騒の中に立っていた。 辺りを見渡せば、高くそびえるビル群、絶え間なく流れる車の渦、せわしなく行き交う人々のざわめき…。
その様子は紛れもなく大都市の光景だった。だが、それはテーブルの上に並べられたミニチュアの街だった。
「すごーい。これ、どう見ても新宿じゃない? ミニチュアだなんて信じられない!」
ウサギは感嘆の声をあげた。
「今にも人の声が聞こえてきそうだよね」
カメは瞳を輝かせて街を見つめた。
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「ミニチュア × 百段階段」
その瞬間、ウサギはカメの気配がふっと消えたことに気づいた。
「ちょっと…ど、どうしたの?」
カメはいつの間にか小さくなり、ミニチュアの中に溶け込んでいた。 侍のような着物をまとい、腰には鋭い刀。 その姿は、まるで江戸時代の武士のようだった。
「カメくん…あなたなのよね?」
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「もし夢なら、早く覚めて!」
ウサギは祈るように目を閉じた。しばらくして恐る恐る指の隙間から覗くと、次の瞬間、再び驚きの声がもれた。
「ど、どうして戦ってるの…!?」
カメは、まるでスーパーヒーローのように、壊れかけたビルの上で悪者と対峙していた。 小さな身体のまま驚異的なスピードで敵をかわし、力強い一撃を繰り出している。
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あまりの衝撃的な彼の姿に、ウサギはくらくらとめまいを覚え、その場に崩れるように気を失った……。
どれくらい時間が経ったのだろう…?
ウサギがゆっくりと瞼を開くと、鮮やかな花たちが、頭上からゆらめくように見下ろしていた。
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「ま、待って! こんなに花が大きいってことは…」 ウサギがあたりを見回すと、すべてのものが頭のはるか上に見えた。
「私まで…小さくなったの…?」
ウサギの体から力が抜け、その場にへなへなとしゃがみ込んだ。…すると、どこからともなく甘い香りが漂ってきた。
顔を上げると、頭上のテーブルの上に美味しそうなお菓子が並んでいる。 そして、そばにはこう書かれていた。
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「あれを食べれば元の大きさに戻れるよ」
後ろから聞こえた声にウサギが振り返ると、絵本の中で見覚えのある、つぶらな瞳と目が合った。
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