見出し画像

【潜入】20代の焚き火会レポート

都内のとある河川敷で、20代の若者たちが密かに焚き火を楽しんでいるという噂を耳にしました。
焚き火研究家を自称する私にとって、これは見逃せない情報です。
若者たちの焚き火会とはいったいどんな雰囲気なのだろう?
抑えきれない好奇心に突き動かされ、参加を決意したものの、そこには思わぬ障壁が待ち受けていました。

【作戦会議】

40代の既婚者である私が20代の集まりに紛れ込むのは、年齢制限こそないものの、やはり場違いもいいところです。
「若い人たちに気を遣わせて、空気が微妙になってしまったら...」と思い悩んだ末、意外な作戦を思いついたのです。
普段はコンプレックスでしかない低身長という特徴を、今回ばかりは武器にしようというわけです。
キャップを被って若者のフリをし、潜入することにしました。

【潜入の目的】

今回の調査には、大きく分けて二つの目的があります。
一つは参加者として焚き火会の雰囲気を肌で感じること。
もう一つは主催者との交流です。
BBQの主催者なら珍しくないのですが、焚き火会となると話は別。
どんな雰囲気で行われているのか、どのように運営されているのか、そもそも主催者はなぜこんなイベントを開くのか—。
私の好奇心は尽きることを知りません。

【潜入当日】

ついに当日を迎えました。
わくわくした気持ちで電車に乗り込んだものの、不安が次々と湧いてきます。
「もしかしてみんなキラキラしたパリピ集団だったら?全然あり得る...」
「流行に敏感な都会の若者たち。話題についていけるのか...」
「ああ、TikTokで若者のトレンドくらい予習しておくべきだった」

頭の中はネガティブな考えでいっぱいになっていきます。
でも最後は、「まあ、これはこれで自分の焚き火会での面白い話のネタになるかもしれない」と開き直り、いつもの『なるようになる』精神に落ち着きました。

【現場到着】

会場に着いたのは開始30分前のことです。主催者らしき青年が一人、準備を進めていました。

声をかけてみると、なんと彼も焚き火会の主催者と出会うのは初めてだとのこと。
お互いに興味津々で、焚き火への思いを語り合います。彼の目的は「焚き火の場を通じて同世代の仲間を作ること」。
短い時間でしたが、焚き火の魅力や可能性について、とても刺激的な会話を交わすことができました。

【焚き火開始】

気がつけば参加者が徐々に集まり、全部で6名に。
見た目の印象から「全然パリピじゃない」とわかり、来る途中まで抱えていた不安が杞憂だったことにほっと胸をなでおろしました。

いよいよ火が起き、焚き火が始まります。
自己紹介から始まり、仕事や趣味の話、焚き火にまつわる話と、和やかな時間が流れていきました。
そのうち、人生観や恋愛観といった深い話へと移っていき、ついつい本音が漏れ出して、年齢や家族のことまで話してしまいました。

焚き火あるあるなのですが、炎を囲んでいるとどうしても本音が出てしまうんですよね。
これが、焚き火を囲む人々が自然と打ち解けやすい理由かもしれません。

私の正体が明かされた時は一瞬、場が騒然としましたが、むしろ自分を隠す必要がなくなったことで、潜入の目的までオープンに話せるようになりました。
おかげで最後まで、リラックスして交流を楽しむことができたのです。

若者たちの焚き火会
都会を背景に焚き火

【潜入を終えて】

この夜の体験は、焚き火の素晴らしさを改めて教えてくれました。
見ず知らずの人たちが、ただ炎を囲むだけで、自然に打ち解けていく。
そこには年齢も立場も関係ありませんでした。

今回の経験から、私は若い世代に焚き火の素晴らしさを伝えていきたいと、思うようになりました。
主催者の青年が「同世代で集まって焚き火がしたい」という思いだけで始めた小さな集まり。
そこには、SNSやオンラインでは得られない、人と人との温かなつながりが自然と生まれていました。

焚き火って、実は難しく考える必要はないんです。
でも、最初の一歩を踏み出すのには、ちょっとした勇気がいる。
だからこそ、私のような経験者が背中を押してあげられることがあるはず。

みんなで火を囲み、ゆっくりと話を交わす。
そんなシンプルだけど温かな時間の過ごし方を、次の世代に引き継いでいく。
それは、デジタルでつながる時代だからこそ、より大切な営みなのかもしれません。

いいなと思ったら応援しよう!