新入社員向け講話の一案
概要
昔、あるメーカーで新入社員の受け入れ研修の責任者だったとき、講話した内容です。新入社員向け講話の参考にしてください。
新入社員の皆さんに
1.始めに
まずは入社おめでとうございます。私たちはみなさんを歓迎します。これから一緒にこの会社をより良くしてくれることを期待しています。
このように言うと、皆さんの中には期待のかけ過ぎと、引ける方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんの力は、みなさんが思っている以上に、大きいものがあります。私たちは、そのような力を引き出すお手伝いをしたいと思っています。
なお、皆さんの力に期待すると言いましたが、申し訳ないが学校で学んだ知識が、そのまま会社の業務に直接的に適用できるとは限りません。会社では、基礎的でも使える知識が重要です。例えば、「相手の状況を考えて説明できる」ように、こなれている知識です。但し、このような知識の使い方に関しても、これからの集合研修や、業務の中の訓練を通じていろいろ教えていきますので、安心してこれからの会社生活を送ってください。
2.学校と会社の違い
さて皆さんは、今までの学校生活から会社生活に切り替えてもらいます。色々な違いがありますが、大切なことは以下の項目です。
(1)行動の目的が具体的になります
究極の目的は、良いモノをお客様に供給して、利益を出すことです。また会社を生き残らせさせ、拡張することも重要です。会社が利益をだし、納税することは、社会が上手く回ることに、かかわってきます。
特に、仕事は一人だけではできません。多くの人と協力することが大切です。目標に合わせて協力することで、大きな成果が生まれます。
(2)評価は長期的かつ多面的になります
会社生活は、利益を生むという目的が明確ですし、一方すぐ先にある卒業と言う切れ目もありません。従って、長い目で観て成長を考える、多面的な評価が行われます。単純に試験の点数で成績をつけると言うことではありません。
また、1回の失敗は気にすることはありません。しかし、しっかり反省し、根本原因を追究して、2回目の失敗を繰り返さないことは大切です。一方、評価に関しては、上司の見方だけではなく、関連部門や取引先などの多方面からの評価を受けます。
(3)自己責任が増えます
例えば、今までは学校の決めたスケジュールに合わせた生活だったかもしれません。しかし、今後は自分でスケジュールを管理する必要があります。会社生活では、自分のスケジュールを管理する手帳などのツールは必須です。また、色々な会議等の記録を行うため、メモ情報を管理する必要があります。学校の勉強と違い、1件は短いが、多数の案件が並行して記録しないといけないことも起こります。システム手帳が昔流行りましたが、会社生活では、このようなバインダー形式の保存も有効です。
(4)知識は持っているだけでなく、活用して初めて価値が出ます
今までは、学校の先生が試験を作り、知っているか否かを確認してくれました。これからは、自分が知っていることを相手に解るように説明し、適切な時に使う必要があります。特にこれから勉強するときには、自分が説明すると思って勉強することが大切です。または、自分自身が疑問に思っていることに対する回答を見出すための勉強もあるでしょう。そのような勉強の手段として、説明の原案を作る手段としてノート作成のスキルをしっかり身に着けてください。
3.自分の可能性を見直す
さて、このような話を聞くと、自分がこの会社でやっていけるのか、と言う不安を抱いた人もいるでしょう。しかし皆さん自身の中には、今までの多くの蓄積があります。学生時代に勉強した人、しなかった思っている人、色々いるとは思います。しかし、人間の頭の中には、多くの情報が入っています。試験で良い成績が取れないと言うだけで、できないと言うことにはなりません。
一つ簡単な練習をしてみましょう。
「皆さんは3日前の夕ご飯は何を食べましたか?」
この質問に、答えられない人も多いでしょう。しかしながら、今日の朝ご飯、昨日の夕ご飯、昼ご飯、朝ご飯、一昨日の夕ご飯、昼ご飯、朝ご飯と遡っていくと、かなりの人が思い出せたと思います。
このように記憶していても、思い出せない情報が多くあるのです。そのような情報は、探さないと出てきません。これからは自分の頭の中にあるモノを信じて引き出すことに力を入れてください。無いと思うと何も出てきません。あると思って探すことです。
4.不足能力と勉強
さて今までのお話でも分かるように、皆さんには多くの可能性があります。しかしまだ完成ではありません。そのためにこれからもどんどん力を拡充してください。
ここで大切なことは、何が必要かを自分で考えることです。欲しくないものは、強制されても身に付きません。一方、仕事で必要と思ったら、結構短い時間で身につくし、今までの知識が活性化してくるものです。なお、勉強は自分の方法で行うことが大切です。世の中には色々な勉強法がありますが、自分の歩幅に合った方法が一番身に付きます。但し、色々な方法を知っておくことは、ヒントを得るためには有効です。また、自分の歩幅で考えるためには、与えられた教科書より自作ノートの上で考えることが大切です。人に説明すると思って、そのテーマに必要なことをノートに書いてください。こういう訓練をすると、自然に情報の重要度が解ってきます。
5.生活上の注意
さて、これからは当社の社員として看板を背負って歩くことになります。現在の社会は機密保持などでも厳しくなりました。皆さんも会社で触れた機密情報を、社外に持ち出さないように注意願います。特にネット化した社会では、一度流出した情報は大きな被害が出ることを知っておいてください。
6.最後に
もう一度言いますが、自分の可能性を信じて、何事にもチャレンジしてください。少しの失敗を恐れて、機会損失をしないようにしてください。 以上で、私のご挨拶を終わります。