【文学フリマ東京36】締切間に合わなくてもコピー用紙が足りなくてもホテルに泊まれなくても諦めなくて良かった。
お久しぶりです。
かねてより初出店宣言しておりました文学フリマ東京36が、無事に終了致しました。
結果から言うと、20冊持って行って18冊も売れました!
噂では「全然売れなかった…」という声を目にしていたので、「3冊売れたら上等だ」と、なるべくがっかりしないようにハードルを下げて挑みました。なので、想像以上の結果にびっくり!
しかし、私の文学フリマ初出店、一筋縄ではいかなかったのです。
後回し癖爆発!締切に間に合わず!
まず、最大の失敗がこれです。
印刷所の締切に間に合わなかったこと。
ギリギリでも5月15日が最終締切だったのですが、それに気づいたのは16日の深夜のことでした。
ADHD特有の、「ストレスが溜まれば溜まるほど、タスクが積み上がっていく現象」に苛まれ、原稿を進めることも、印刷所についてきちんと調べることも、それどころか最終的にはパソコンを開くことすら"タスク"になってしまい、頭の中では「今日こそは…!」と思うのに、何もできないまま時間が消えていく…という負のループ。
慌てて他の印刷所を探したけれど見つかる訳もなく、コピー本を作ることにしたのでした。
コピー用紙が足りない!パニックで半泣き
私の後回し癖がここまで酷く出てしまったのには、1つ明確な理由がありました。
それは、4月から新しい仕事を始めたこと。
精神的に体調を崩して、去年1年ずっとニートをしていた私は、ようやく4月から働き始めたのでした。世間では当たり前のことかもしれないけれど、私にとって週4で8時間働くことはとてもキツかったです。何しろ、去年までずっと引きこもっていたのですから。
慣れない環境と足りない体力で、あっという間に疲弊してしまう毎日。余裕が無くて、自分の時間をうまく作ることができませんでした。
ようやく原稿が完成し、家のプリンターで印刷し始めたのは、2日前の19日のこと。
その日は17:00から家族で夜ご飯を食べに行くことに行くことになっていました。
しかし16:30頃、事件発生。
コピー用紙が足りなくなったのです。
17:00に行かなきゃ行けないのに、コピー用紙が足りない。今日やらないと間に合わない。近くのホームセンターまで自転車で15分。絶対に夜ご飯には間に合わない。
「先にご飯行ってて!コピー用紙買いに行くから!」と母に告げると、想像はしていたけれど、母は激怒。
「なんでギリギリにそういうこと言うの!」と怒鳴られ、「だから先に行ってって言ってるでしよょ!」と怒鳴り返す。
しかしなんだかんだで世話焼きな母は、「ホームセンターまで送る」と言っているのですが、私はもう、時間に間に合わないことや怒鳴られたことでパニックで、「自分で行くから!自転車で行くから!」と喚き散らしました。
結局、「良いから車乗りなさい!」と言われて車に乗ったのですが、あの時の駐車場での私の絶叫は、近所に響き渡っていたことでしょう。
最終的に、印刷が終わって、ホッチキスで留めて、コピー本が完成したのは夜中の2:00のことでした。
ちなみに、文学フリマが終わった後、母にはちゃんとお礼を言いました。
ホテルに泊まるお金が無い!
作品に直接関わる問題では無いですが、金銭的な問題もありました。
4月から働き始めたので、その初めてのお給料が入るのが5月最終日なのです。つまり、2ヶ月間収入が無いまま過ごさなければならないということ。
5月後半のこの時点で、私の手持ちのお金は3万程度しかありませんでした。
私は東京住みではないので、交通費もかかります。食事をしない訳にはいかないので、食費もかかります。
そして何より大きいのがホテル代。
これもまた、完全に私が悪いのですが、後回し癖のせいでホテルの予約すら後回しにした結果、もう手頃な価格のホテルが空いていなかったのです。
「仕方ない、かなりタイトなスケジュールだけど夜行バスで行って早朝に着いて、その日の夜行バスで帰ってこよう…」と決め、Twitterで嘆きのツイートをして眠りました。
すると次の日、以前お会いしたことのあるフォロワーさんから、「良ければうちに泊まりませんか」と声をかけて頂いたのです!
「会うの2回目の人間を泊めるなんて大変だろう…」と思ったのですが、背に腹はかえられません。そのフォロワーさんともお会いしたかったですし、お言葉に甘えることにしました。
おかげで余裕を持って前乗りすることができて、当日も焦らず到着することができました。
本当に感謝です。
開始1時間で5冊も売れた!
そんなこんなで数々の問題をなんとか乗り越え、右も左も分からないまま会場入り。
お隣のブースの方と軽く挨拶をして、準備を始めます。が、私には準備も何もありません。
あまりにもギリギリの作品完成だったため、出店に必要な小物の準備など、何一つできなかったのです。
他のブースを見ると、机に布を敷いたり、値札を付けたり、ポスターを貼ったりと、自分のブースが華やかに見えるように工夫しています。
しかし私は、布やポスターどころか、値札すら用意していませんでした。
そんな私が唯一持っていたのがこれ。
夜、寝る時のために連れてきたぺんぎんのぬいぐるみ。
しかたなく、コイツに手伝ってもらうことにしました。
胸のところにシールを貼り、「300円だよ!!」と書く、強行手段。
他に客引きのできるアイテムを持っていなかったため、ずっとぺんぎんを抱えていました。
すると、ぺんぎんのおかげか、思ったよりも興味を持って足を止めてくれる人がいました。気づいたら1時間で5冊も売れており、ちょっと自信がつきました。
コンカフェバイトの経験で培った明るい声掛けも役に立ち、いつの間にか恥ずかしがらずに声をかけられるようになっていました。
あの人も!この人も!初めてリアルで会えた人たち
私の作品を購入してくれた18人の中には、Twitterで知り合ったフォロワーさんも何人か来てくださいました。
何年も前から知っているのに会ったことのなかった方にようやく会えたり、まだ最近出会ったばかりの方が「君のために来た」と言って駆けつけてくれたり、「私、鍵アカなんです」という方が足を運んでくれたり、嬉しい出会いがたくさんありました。
そして、フォロワーさん以外のお客様も、一度ブースを離れたのにわざわざ戻ってきてくださったり、最後の最後で1冊買ってくださったり、興味を持ってお話をしてくださったりと、良い出会いがありました。
「私には無理だったんだ…」と思ったけど、諦めなくて良かった
原稿の締切に間に合わなかったことを知った時、「やっぱり私にはこんなこと無理だったんだ…!」と、すごく卑屈になって絶望しました。
おまけに様々なアクシデントも続き、「私、何のために東京まで行くんだろ…」と落ち込みながら出発しました。
だけど、たくさんの人の協力や優しさのおかげで、初出店なのに大成功を収めることができました。関わってくれた方、応援してくれた方、足を運んでくれた方、手に取ってくれた方、たくさんの方々のおかげです。
本当にありがとうございました。
今回のコピー本に入れた、「保健室難民十七歳」という詩は、私が人生で初めてちゃんと書いた詩で、なおかつ『文芸思潮』の現代詩賞で佳作を頂いた作品です。コピー本だけど、自信作には間違いありません。
購入してくれた方の心に響いたらいいなと思います。そしてまた、次の機会に他の方々にも出会えるように、その作品をここに載せたいと思います。
いつか私の言葉が、どこかの誰かを救いますように。