コロナにどう対処した?BtoBマーケティング2020年度振り返り
はじめに
2020年2月から本格的に蔓延したコロナで激変した環境の中で試行錯誤した活動はきっと役立つと思い、自社ビジネスにおけるコロナ対策という観点でマーケティング活動の振り返りを書いてみました。
私すずねこの自己紹介やマーケティングチーム運用については、過去に書いたnoteをご覧いただくと雰囲気つかめると思います。↓↓↓
1 マーケティング計画はほぼ白紙でスタート
2月から本格的にコロナが蔓延したことで2020年度(2020年4月〜2021年3月)のマーケティング計画作りは頓挫していました。その一番の要因は「景気悪化」への大きな懸念です。「世界大恐慌がくるかも」と最悪な状況まで考えていた事もあり、正直マーケティング計画どころではありませんでした。何を優先して守るべきなのか、自分ができることは何なのか、と漠然と思い悩んでいた心理状態だったと思います。
そんな中立てた上半期の計画は「コロナの様子を見て決める」ということだけ。事実上白紙です。会社全体の予算計画はあるものの、春の段階では徹底して経費削減の意識でスタートするのが良いと考えていましたので、イベント、広告、外部を利用したプロモーション活動など、大きなキャッシュアウトがある活動は停止し、当面は内制でできることに注力する事にしました。
結果的に、2020年度のマーケティング活動方針や、マーケティングカレンダーを会社へ報告したのは7月15日の会議でした。それくらいの時期までは、未来の計画は無く、目の前のやるべき事=「コロナ対策」 を在宅で一心不乱にやっていた感じです。
2 マーケティングの活動方針
年間計画は白紙。かなりイレギュラーな状況だったので、活動方針だけは明確に決めてチームをスタートさせました。
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オンラインによる新規営業案件づくりに注力
うちの会社はアカウント営業の人数が多く、既存のお客様への活動が大事なのですが、最大の不安は「営業がお客様へ訪問できない」事でした。またコロナで業績低迷するお客様も数多くいる事を考えると、「既存のお客様に対して計画的に案件を作っていく事」や「既に予算化いただいた案件を進める動き」が止まる事が予測されました。つまり営業が計画通り数字を作れない不安がありました。
これに対してマーケティングが注力すべきことは「営業に新規案件を渡す」こと。さらに言うと「オンラインでできる商談を渡す」ことになります。
これに私達のチームは心血を注ぎました。
コロナで人の動きが止まった緊急事態宣言中、具体的な活動として以下2つの施策を走らせました。
3 施策1 : 新動画コンテンツサイトの起ち上げ
私達が持つ「テレワーク関連サービス」のオンライン商談を増やすために、テレワークのウェビナーが沢山見れるYoutubeのような動画プラットフォームを2週間で起ち上げました。掲載する動画については、ひとまずは過去に公開したウェビナー動画を掲載しました。
ただ、それなりの動画数が無いとお客様はサイトを見てくれません。この課題に対して「テレワーク動画コンテンツ作り」を事業部全体の重要施策に位置づけ各部に制作をお願いしました。要はセミナーの講師を各部に依頼するのと同じなのですが、動画製作数を目標として握って貰うことで、一緒に目標を追いかける形にしました。また動画制作に関しては自社だけでなく、協業するパートナー企業にも声をかけ、総力戦で多くのウェビナー動画を作り上げていき、結果3ヶ月という短期間で50本以上が集まりました。
また動画とセットでキャンペーンも立て付けました。キャンペーンを作ってよかった事はインサイドセールスが活動しやすくなった点です。コロナ禍で電話にはなかなか出てもらえない苦しい状況でしたが、会話ができればウェビナーサイトとキャンペーンをセットで案内ができるので、会話に入りやすく、結果多くの案件を営業に対して作ることができました。
<今回の成功要因になったコラボ>
豊富な動画コンテンツ × キャンペーン × インサイドセールス
この施策の成功は「そもそもテレワークの需要があったから」と考えることもできますが、その需要をしっかりと案件につなげるためのコミュニケーションツール(豊富な動画コンテンツとキャンペーン)。そしてそれを利用したインサイドセールスの活動があったからだと思っています。
4 施策2 : お客様アンケート
コロナの危機的な状況で「まずお客様の変化を知る事」が大事だと考えました。しかし営業の活動も制限されていたため、オンラインアンケートでお客様の声を入手するという施策を実行しました。例年、年に1度ユーザーアンケートを実施していたので、これを焼き直してアンケート設計を行い、コロナ禍におけるお客様の状況知るべく、オンラインパネル調査を早急に行いました。緊急事態宣言のあたりだったと記憶しています。
ここでの課題は有効回答数。多くの回答が貰えるのかという不安がありましたが、営業担当に回答数の目標を握ってもらう事を行いました。「重要なお客様の回答率は100%にしよう」と目標を立て、営業は自身のお客様に回答を促すことで、目標は達成し500件以上のお客様の声が集まりました。これにより営業はお客様のコロナによる状況変化を知ることができ、行動の優先順位付けや、提案内容の質が上がり、活動に大いに役立ったようです。
5 ウェビナー
コロナ前からウェビナーは始めていたため、オフラインセミナーからスムーズに移行することができました。30超えるセッションを用意した規模のイベントも内制で企画〜実行までできるようになりました。
ただその中で今も苦労しているのが動画編集と撮影機材のノウハウです。配信サービス自体のデファクトはある程度決まってきていて(Zoom、Teams、Youtube、Vimeo 等)、操作も難しくないのですが、動画編集と撮影機材は奥が深く、専任者が学んで手を動かさないと、良いコンテンツを作ることができないなあと感じています。
私達の作る動画はビジネスセミナーなので、凝った編集をしなくても良いので何とかなっていますが、撮影機材については技術面で追いついていけずクオリティを上げるに苦労しています。マイク、カメラ、スイッチャー、照明、等、実際に使いながら試行錯誤している状態です。BtoB企業もユーチューバーのように個人発信、企業発信していかなければならない時代になって行くのではと思っているので、動画撮影に関するスキルは今後もチームで伸ばして行きたいと思っています。
6 コンテンツマーケティング
夏を過ぎ、コロナの影響度合いなどが見えてきて、広告の計画を始めたのですが、WebメディアやWeb系の広告代理店は各社非常に忙しい状況だったようです。どの企業も人を集めるセミナーやイベントをやめ、オンラインに切り替える動きになったので当然の状況かと思います。
私達は自社でコンテンツマーケティングを完結できる様になっていたことで、スピーディーに施策を実行することができ、コロナ禍の苦しい時期を乗り切れたと思っていますが、広告予算を潤沢に持たないBtoB企業において、コンテンツマーケティングを自社で実行できるということは大事なポイントだと実感しました。
7 コロナ禍における展示会
出展を予定していた展示会(EXPO)についてはキャンセルポリシー上、出展費が戻ってこないため、しかたなくキャンセル判断をしました。(結果的に開催自体が中止になりお金は戻ってきました)
展示会の出展はできるだけ早く申込みをしないと良い場所が取れないため、このような外部環境要因で厳しい判断を迫られる事になります。今回リスクに直面したことは良い学びになりました。
展示会は新規のお客様と接点を持てる場として活用してきました。また元の状態に戻れば活用したいのですが、しばらくは様子を見ながら、判断していく形になりそうです。
おわりに
コロナでお客様の行動に大きな変化があり、それにあわせてマーケティング手法を変えていくのは必然だと思います。「生き残れるのは変化に対応できる者だけ」と言われますが、まずは変化を知る事、そして恐れず自分達が変化していくことが大事だとこの1年でとても実感しました。
私たちはコロナで失ったものもあるけど、得たものも沢山あります。
そして、失ったものはまた取り戻せばいい。
コロナの収束はまだ見えないけど、決してネガティブになりすぎず、これからもマーケティングを楽しく学んで、実践して行きたいと思います。