胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ─仲間─
『胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ』|まくら|note
↑こちらの作品の
スピンオフになります。
これだけ読んでも
ワケワカメです(笑)
現在60話まで連載ですが
1話1000文字以下なので
サクサク進みます( 。˃▿˂ )੭ꠥ⁾⁾ww
と書いてて
私の作品2000字くらいです(笑)
よろしくお願いいたします♥
※
しくじった。
普段じゃあんな
ポカなんてしない。
何で、あんなところで
出てくるかな。
後悔しても仕方ない。
しくじったのは、自分のせいだ。
体力も異能力も
使い果たして
今、奴らに捕まればもう
逃げる事は出来ない。
隠れなきゃと、
頭では考えられても
体が言うことをきかない。
さっきまで強い日差しが
指していたのに
徐々に湿気が多くなってきたのを感じる。
ヤバイなぁ。
適当に止血はしたが、
雨に濡れたら……。
まぁ、このままでも同じか。
目が覚めなきゃ
オダブツって事で。
雨音が近づいてくる。
だんだんと強くなる雨粒。
諦めて、雨粒が降り注ぐ中
裏路地の壁に寄りかかる。
思い出すものもない。
思い出したくもない。
過去なんてなくていい。
一人でいい。
一人がいい。
雨粒が顔を伝う。
このまま死んじゃうのかなぁ。
あの子猫、ちゃんと親猫に
会えたかなぁ。
さっき自分が守った
小さな命。
自分の命が消える時に
子猫の事を思い出しているのが
たまらなく可笑しかった。
私が生きているより
全然いいよ。
やはり止血した部分から
ジワリジワリと布に
赤が広がっていった。
スズタニは、雨粒に包まれながら
ゆっくりと瞼を閉じた。
※
マスターと話が弾み思ったよりも
遅くなった。
傘は必要ないと思ったが
持ってきて正解だった。
雨音が遠くから聞こえる。
間もなく夏特有の豪雨になる。
にぁあ
小さな鳴き声が聞こえる。
親猫に甘える子猫。
子猫の足に血が着いている。
ゆっくりと子猫の側に寄るが
2匹とも逃げる気配はない。
じっとこちらを見ている。
子猫の足に傷があるかと思ったが
そうではないらしい。
手で拭ってやると
擦り寄ってきた。
親猫も撫でてやる。
「こんなところにいたら雨に濡れるぞ」
声をかけると2匹は、
ゆっくりと裏路地へ歩き出した。
が立ち止まり振り返って
俺を見ている。
なんだ。
俺を呼んでいるのか?
もうすぐ豪雨がやってくる。
雨の日が少しばかり
苦手になっていた俺には
なんとも残酷な誘惑だろう。
仕方なく、ついて行く。
雨が強くなったら、コイツらに
傘を置いていけばいい。
数歩進むと、馴染みの臭いがする。
急いで子猫の側へ走ると
『さゆ…』
血を流している女を見つけて
走り寄る。急いで脈を取る。
弱いが、しっかりと脈を感じる。
傘を開いて猫達に渡す。
変わりに女を抱きかかえて
医院へ急ぐ。
にぁああ
と声がしたが、
返事をする暇はなかった。
※
あ……雨やんだんだ。
自分にまとわりついていた
生ぬるい感じはない。
生きてんじゃん。
そっと目を開ける。
瞬間、飛び上がり
自分がいる場所を確認する。
病院。いや、違う。
じゃぁここは?
ベッドは固く診療所のようだ。
だが、機器の型がかなり古い。
自分の状況を
混乱した頭で考える。
額に手を置くと違和感を感じる。
ん?
え?ちょっと!
腕のタトゥーが消えている。
ちょっとなんで!
しかも、自分が着ているのが
大きめのTシャツだと気づいた。
なにこれ?
意味分かんない。
首元の生地を伸ばし体を見る。
胸の谷間にあった
タトゥーまで消えている。
「やっと起きたか」
男の声に反応して戦闘態勢をとる。
出てきた白衣の男は
両手に湯気の立った
珈琲を持っていた。
「わざわざ、喫茶店のマスターから
貰って来たんだ、落ち着いて飲めよ」
そう言って
ティーカップを手渡された。
普通じゃない状況に
普通の行動をとってしまった。
白衣の男は椅子に座ると、
あの日の事を話始めた。
「小鳥遊先生、ありがとう」
なんて言っていいのかわからず、
素直にそれしか言えなかった。
だがタトゥーが消えてる事には
流石に文句を言った。
が返ってきた白衣の男の言葉に
私の頬が赤くなったのは秘密だ。
※
猫舌なカヲルが珈琲を冷ましている。
フーフーとカップに
息を吹きかけているのが
可愛らしい。
「スズねぇ。そんなに
見られると恥ずかしいですけど」
こちらに気づいて
頬を赤らめているカヲル。
「だって可愛いんだもん♥」
ニコニコしながら
私も珈琲に口をつける。
「私も、スズねぇみたいに
タトゥー入れたら、強くなれるかなぁ?」
首をかしげながら聞いてくる
あざと可愛い妹。
「綺麗なモノに飾りは、いらないわよ♥」
そう言ってウィンクを飛ばす。
真っ赤な顔をしている
妹を、からかい過ぎて
怒られるのも幸せだわ♥
日常。
普通。
一時でも幸せな時間を
送る事が出来る。
生も死も紙一重。
こんな世界だからこそ
笑える時に笑っていたい。
死ぬときは
笑顔で死にたいわ♥
私が入れるタトゥーの意味は
過去とは違う。
隠すためのタトゥーじゃない。
自分と仲間を、守るため。
仲間を守った誇り。
仲間が出来た。
守るべきものが出来た。
守られるという意味がわかった。
『弱い奴は嫌い』
ルナの言葉の通り。
弱い奴は死ぬ。
だから、私は死なせない。
ルナの笑顔を守るため。
そして死なない。
カヲルの笑顔を守るため。
※
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