春と風 #シロクマ文芸部 #胸いっぱいのアイと情熱をアナタ ─春と風─
『胸いっぱいのアイと情熱をアナタへ』|まくら|note
↑こちらのスピンオフになります。
読んでないと、なんのこっちゃ?な
お話です(笑)
※
春と風が運んで来るのは……
ハクショッツツンンン!!!
花粉。
毎年スズねぇのクシャミで
春の訪れを感じる。
「社長!びっくりするから
もう少し小さい声にしてくださいよ。
おっさんみたいですよ」
社員のマツムラさんが
スズねぇに声をかけてる。
「おっさんに言われたくないわぁ〜」
イケメンのマツムラさんに
そんな事を言えるのは
スズねぇだけだ。
「ス…社長、今日の外仕事
わたしが変わりましょうか?」
スズねぇを花粉舞散る中に
飛び込ませるのは、
なんだか可哀想でつい声を
かけてしまった。
「カヲルぅ♡大丈夫!
今日は、もうお休みにしたから」
そう言うと、スズねぇに
手を引かれ更衣室へ連れて行かれた。
ガサゴソとスズねぇは
ロッカーから大きな包みを
出してきて
「はい♥コレはカヲルの分ね♥」
とズシリと重い何かを手渡された。
※
「つまんない」
裏の仕事以外は、やりなくないと
文句を言いながら
ルナちゃんが絡んできた。
う〜ん。そう言われても
スズねぇの代わりに
やらなきゃいけない仕事は
たくさんあるし困った。
拗ねてしまったルナちゃんは
ソファで漫画を読み始めてしまった。
しばらくして
みんなが帰ってきた。
「カヲルちゃんコレ♡」
仕事から帰って来た
マツムラさんが、可愛い紙袋
手渡してくれた。
「なにそれ!!」
さっきまでソファで
ゴロゴロしてたのに……。
素早く移動してきた
ルナちゃんが私の側で目を輝かせている。
「バレンタインのお返しですよ。
みんなでまとめて3倍返しです。
30倍返しは出来なくてゴメンね」
そう言って私の頭を撫でてくれた。
『30倍で返すからね♥』
スズねぇの言葉を思い出す。
「私には?」
「ルナちゃんから貰ってないでしょ」
「え〜残りあげたじゃん!!」
ルナちゃんとマツムラさんの
会話が楽しくて、つい笑ってしまった。
「わたしがルナちゃんにお返しあげるね」
そう言うと目を輝かせて
「マジ?!やったぁ♥」
と喜んで抱きついてくれた。
「マツムラさん、残りの仕事
任せちゃっていいですか?
あとは、返信待ちだけなので」
「もちろん。お疲れ様。
カヲルちゃんとルナちゃん」
「カヲルちゃん!何か作るの?
それとも何か買いに行く?」
「お弁当作ってお花見に行こう♥」
それから2人でお花見弁当を作った。
途中バレンタインの話をしていたら
「悟にチョコのお返し
もらってないじゃん!!」
と怒りだしたルナちゃんを
止めるのが大変だった。
「悟さんの代わりにわたしが
ちゃんと3倍返しするからね」
無事にお花見弁当が完成した。
ルナちゃんのリクエストを
沢山詰め込んだお弁当箱を
持って、2人でみんなの所に向かった。
3人のお墓。
静かに眠るサカガミさんと冴子さん。
わたしに全てをくれたスズねぇ。
桜が咲き始めていた。
あの頃を思い出す。
「カヲルちゃん。ごめんね」
「えっ?!どうしたの?」
「悟に会ったら30倍返しさせるからね!!」
わたしが落ち込んでいたの
気づいてたんだ。
流石ルナちゃんだ。
「そうだよね!悟さんに
ちゃんと3倍返し貰わなきゃね!!」
「その前にぶっ飛ばすとけどね♥」
2人してお墓の前で笑った。
悟さん。
ちゃんとルナちゃんの事
見守ってるからね。
春風に乗って桜の花びらが舞っていた。
あの日の様に。
※
「やっぱりカヲル可愛い♥」
スズねぇとお揃いの着物で
お花見に行った。
嵐の前の静けさ。
みんな笑顔でお花見に行ったあの日。
春になったよ。また、
スズねぇのクシャミ聞かせてよ。
※
お題とAI画像が
ちょうどシンクロしたので
書いてしまいました(笑)
※
シロクマ文芸部|お遊び企画「春と風」|小牧幸助|小説・写真・暮らし
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