「救世主ネオの物語」としては蛇足。「自由を勝ち取る物語」としてはアップデートしている:映画評「マトリックス レザレクションズ」
目にする評判的には「今ひとつ」って感じ?
「蛇足」評もよく聞きます。
でも僕は「悪くない」と思いました。
まあ「マトリックス」をはじめて見た時の新鮮な驚きには及びませんけどね。
ただそれは2作目(リローデッド)・3作目(レボリューションズ)にも言えることでした。
評価のポイントとしては3部作で完結した「救世主ネオ」の物語を、再起動させる必要があったか…ってことでしょう。
その点については「必要はなかった=蛇足」と捉えられても仕方がないと思います。
本作の意義は「ネオの物語」の続きを描くところではなくて、「自由とは何か」「自由のための戦いとは何か」を深掘りしたところではないでしょうか?
あらゆる「枷」を否定し、「自分」が「自分」としてあることを求める。
その「枷」の中には、役割、ジェンダー、年齢、人種、「家族」さえも含まれます。
「トリニティー」の物語として提示されるそのテーマは、「トランスジェンダー」として、性別適合手術まで行った監督(ラナ・ウォシャウスキー)の経験を踏まえて、一歩踏み込んだものになってるんじゃないかと思います。
その「踏み込み」をどう捉えるかは、意見が分かれるところでもあるでしょう。
その分、本作が「万人ウケ」しない可能性はあると思います。
(トリニティーが「家族」を選択するかしないか…といったあたりとか。もっともココはもう少し突っ込んで描いてもよかったかも、と思わなくはないです。
ま、そうしたら単なる「不倫もの」に見えちゃったかな)
僕自身、「悪くない」と思いつつ、ここまで「自由」を追求するかどうかと言われると、躊躇するものはあります。
まあ、3部作時点でも、「マトリックスに残っててもいいんちゃう?」と思ってたりもしてたんですがw。
一方でその結果、本作はラストで「世界は意志で変えうる」と言うメッセージを強く打ち出しています。
「自由」を求めることによって、「世界」を変えていく。
そのポジティブな強さは必要なことなのかもしれないな…とも感じたりしますね。
ウクライナのことなんか考えたりすると。
さらなる「続編」はありえるか?
…まあ、順当に言えば「ない」でしょうが、3部作でもそう思いましたからねぇw。
「ないとは思うけど、先のことはわからない」
そんなところかな。