オーディオブックには向かないかなw:読書録「知略を養う 戦争と外交の世界史」
・知略を養う 戦争と外交の世界史
著者:出口治明 ナレーター:長塚コト、けんぞう、田所未来
出版:かんき出版(audible版)
世界史を「戦争と外交」(条約)という視点から概覧した作品。
出口さんが脳溢血で倒れられる前にまとめられている作品ですね。
「世界史好き」(世界史マニア?w)の出口さんの本領が発揮されまくった作品となっています。
通して聴くと、
「人類ってのは戦争しまくる種族なんだな〜」
ってつくづく思いますし、
「<理想>で戦争は始まるんじゃなくて、<国益>という<欲>で始まるんだな」
と溜息が出てきます。
そしてその<戦争>を終わらせるのは、<リアリズム>なのだ…ということも。
ただし「良く終わらせる」ことができるのは<理念に裏打ちされたリアリズム>だけでもあるんですが。
数多くの「戦争と外交」の事例が取り上げられるので、物語のように「流れ」として聴くのは面白いんですけど、「どれだけ頭に残るのか」っていう観点からは「聴く」は今ひとつかもw。
中国史とか、「音」で聴いてるとサッパリです(漢字を見れば、もうちょい感覚が掴める)。
いちいち引っかからずに、ザ〜っと聴いていくっていうのは、「流れ」に乗れると面白かったりもするんですけどね。
記憶に残ったのはこんなとこでしょうか。
・「宗教」で揉めても碌なことにはならない
・南北戦争(TheCivilWar)の主眼は奴隷解放じゃない
・ピョートル1世、ナポレオン、ビスマルク、F・ルーズベルトの<理念あるリアリズム>は印象的
・近代のイギリスはエゲツなさ過ぎ(アヘン戦争、ヴェルサイユ条約、中東に関する大戦時の二枚舌)
いや、ほんと近代の大英帝国はなんといいますか…。
まあ、その酷過ぎる反省の果実を、第二次対戦後の日本が享受することができたのだ…とも言えるんですけど。
今、世界が直面している戦争は「ロシアのウクライナ侵攻」。
これをどうおさめるか。
<理念あるリアリズム>を世界が示すことが出来るかどうかがポイントになります。
…そうやって考えると、この難しさも際立つんですけど。
「日本が一定の役割を…」
って声もあるけど、そういうの結構苦手だからなぁ。日本って。