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あまりにもドラマティック…:読書録「死刑執行人サンソン」

・死刑執行人サンソン 国王ルイ十六世の首を刎ねた男
著者:安達正勝
出版:集英社新書(Kindle版)

ずいぶん前(2003年)に出版された本なんだけど、ネットで「最近読んで面白かった」と感想を書いている記事を読んで、読んでみる気になりました。
サンソンに関しては漠然とした知識はあったんですけど、そこまで詳しい事は知りませんでした


<Amazonより>
フランス革命もう一人の主役!!小説を超えた驚きの連続!
敬虔なカトリック教徒であり、国王を崇敬し、王妃を敬愛していたシャルル─アンリ・サンソン。彼は、代々にわたってパリの死刑執行人を務めたサンソン家四代目の当主であった。そして、サンソンが歴史に名を残すことになったのは、他ならぬその国王と王妃を処刑したことによってだった。 本書は、差別と闘いながらも、処刑において人道的配慮を心がけ、死刑の是非を自問しつつ、フランス革命という世界史的激動の時代を生きた男の数奇な生涯を描くものであり、当時の処刑の実際からギロチンの発明まで、驚くべきエピソードの連続は、まさにフランス革命の裏面史といえる。



いやー、むちゃくちゃ面白かったですね。
確かに1人の人間がこれだけのことを経験するっていうのはちょっと驚きです。
事実は小説より奇なり、
よく言われることですが、サンソンの人生もまさにそんな感じでした。


死刑執行人の1族に生まれる。

ということ自体がかなりドラマチックな話なんですけれども、それがフランス革命に重なることで、驚くほどのドラマを生み出しています。

若き日のデュバリー夫人と恋人関係にあり、その後フランス革命時に夫人の死刑を執行することになる

なんてのは一端です。

革命の前の冤罪を受けた騎士たちの処刑のエピソードとか、
自分自身で処刑することになるルイ16世との交流とか
国王の処刑後の苦悩とか
サンソン自身は死刑に対しては、反対論者であったことや、ルイ16世自身が改良に関与したギロチンの誕生経緯やギロチンが革命と共政治にもたらした影響とか、


事件だけではなく、社会的思想的な背景にまでそのドラマチックさは広がっています。
確かサンソンとその妹を主人公にした漫画も書かれてるはずですけど(イノサン、イノサン・ルージュ)、まぁ取り上げたくなる人材ですね。これは
(あの漫画はちょっと覗いてみたら、あまりにもグロくて手を出しかねてはいるんですけど)



それでもマリー・アントワネットの処刑の時に王妃に足を踏まれた話とかは取り上げてませんからね。
まぁ恐怖政治の時代の処刑のことを取り上げ始めたら、もうキリがないっていうのもあるでしょう。
2500人以上処刑したそうですからね。
サンソン自身もある種感覚が麻痺して機械のようになっていたということなんだろうと思います。


フランス革命と言うものは一体何だったんだろうか?
人間の理想を求める気持ちと、それが歯止めが効かなくなったとき、果てしなく残酷なトコまで行ってしまう。その狂気の有り様。


本書を読む前に見たパリオリンピックの開会式の様子なんか思い出してなんだか考えさせられてしまいます。
そんな難しいこと考えなくても、本書自体は読み物としてものすごく面白いんですけど。
まぁ、それ自体もまた… 。


#読書感想文
#死刑執行人サンソン
#フランス革命
#安達正勝

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