《エッセイ》夢精への道 その1(決意編)
実は僕は生まれてこの方、夢精をしたことがない。
いや知らんがなだとか、私だってないわよという声もあるだろうけど、まあ聞いて欲しい。
夢精というのは女性にはあまり聞き馴染みがない言葉かも知れないけども、男性にとっては結構ポピュラーなもので、簡単に言うと寝ている時に意図せず射精してしまうというものである。
とにかく猥談に夢中だった中学生の頃から友達内では「昨日、夢精しちゃったんだよな〜」なんて話をよく聞いたりしていた。
僕独自の調査によると、夢精に対してはポジティブな意見とネガティブな意見が半々ぐらいで、ポジティブな意見は単純明快でとにかく気持ちがいいと言うことである。
ネガティブな意見は早朝から家族にバレないようにこっそりパンツを洗わないといけなくなるから、面倒だしテンションが下がるというもので思春期の頃を取り巻く家族への意識を考えると確かに納得のものであった。
その調査の中でも印象的なポジティブな話をしていたM君という友達がいる。彼はものすごく疲れていると夢精してしまうという変態特異体質の持ち主で、夢精の経験値は僕が会った中でも文句なしの金メダルの男だと思う。まさに夢精界のボルトである。
M君は「とにかく信じられへんぐらい気持ちいいねん、普通のオナニーよりも格段に気持ちいい。だって自分で触ってもないのに射精するねんで?普通に生きていてそんなことある?エロい夢も見れるしすごい体験やで。ちんぽがブルブルッと震えるで。」と大学の学食で昼食を食べながら嬉々として話していた。なんとも下衆な男を友達に持ったものである。
だがしかし、ちんぽが震える‥すごく魅惑的な言葉ではないだろうか。心が震えるとはよく感情表現としてあるが、ちんぽが震えるのはあまり聞かない。ちんぽが圧倒的な独立機関として存在し、感情を持っている、つまり心とちんぽが対等にいるのである。これは多分だけれどもすごいことだ。
僕は中学生の頃からこういった夢精体験談を聞く度、嬉しそうに話す友達をこっそり羨望の目で見ていた。
「そんなに気持ちがいいのか‥羨ましい。いつかはしてみたいもんだぜまったく‥まあ、みんなも自然と機会は訪れているようだし、そのうちチャンスはくるさ、クールに行こうぜ、なあ俺の相棒よ。俺たちは俺たちのペースでやっていこうな」
なんてちんぽに優しく語りかけながら余裕をぶちかましていたら、ふと気づけば夢精童貞の25歳になっていた。
せっかく生きているのであれば色んな体験をして生をしゃぶり尽くしてやろうというのが僕のモットーである。
そこでついに25歳にして人工的に夢精を起こすという一大プロジェクトに挑戦することにした。
なんと言っても、僕は今、気ままな一人暮らし。先に述べた夢精のネガティブな側面は完全に無効化している。(一人で早朝にパンツを洗う虚しさも一興よ)
つまりポジティブな側面だけを享受できるということである。
これぞノーリスクハイリターン、やらない手はないでしょう。
というわけで、ここに僕の夢精への挑戦の決意を宣誓したい。
また随時更新していきます。お楽しみに。